レッスン楽器


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井上ピアノ教室


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クリスマス会が終わって

投稿日:2013-12-23

丹沢の山々のてっぺんは、ここ数日の冷え込みで粉砂糖をふりかけたように白くなっています。

クリスマス会は、今年もドイツの古い教会で歌われた「きよしこの夜」の合唱を聴きながら始めました。パイプオルガンの調べと清らかな歌声に耳を傾けていると、波打っていた心がだんだん静かになっていきます。おや、教会の鐘の音が聞こえてきました。幾重にも折り重なるように響き渡っていく鐘の音…。そろそろ小さなコンサートの幕を開けましょうか。

 

 

ミニコンサートは、自分の好きな曲を自由に選んで演奏していただきました。知っている曲が聞こえてくると、メロディーを一緒に口ずさんでいる生徒さん、音楽に合わせて身体をスイングさせながら聴いている生徒さんもいます。サックスの演奏を聴いたあと、金色の楽器を順番に吹かせてもらうことになりました。けっこう大きくて重たいのですね。スーッ、スーッ。なかなか音が出ません。お姉さんも悪戦苦闘しています。とその時、プォーッ!小さな幼稚園の生徒さんが、思いもよらぬ大きな音を出してみんなびっくり。笑いの渦となりました。

 

「もろびとこぞりて」「神の御子は」「まきびとひつじを」「ひいらぎかざろう」などのクリスマスキャロルは、幼稚園や学校で歌われることはほとんどなく、生徒さんにはなじみが薄いようです。昔から歌い継がれてきた讃美歌の中には美しい曲もたくさんあるので、12月になるとレッスンの合間に少しずつご紹介しています。今日は初めて参加した生徒さんも、お兄さんお姉さんと一緒に一生懸命クリスマスソングを歌っていました。毎年、思い出の引き出しの中に、一曲ずつでもお気に入りの歌が増えていってくれたらと願っています。

 

 「こびとのくつや」のお話のあとは、待ちに待ったおやつタイムです。今年も、手品師の異名を持つR君が、見事な芸でみんなをあっと驚かせてくれました。「いつどこでゲーム」では、幼稚園の生徒さんも大活躍でしたね。

 

今年も一年間、生徒さんの笑顔から大きな力をいただいて、歩み続けることができました。心より感謝しております。ご父兄の皆様にも、レッスンの送り迎えやおうちでのお稽古など、ご協力いただきありがとうございました。


ご都合が悪くて出席できなかった生徒さん、、受験でお休みされている生徒さん、そして、卒業してそれぞれの場で活躍されている方々のもとにも、幸せがたくさん訪れるクリスマスとなりますように…

 

 

追記:「きよしこの夜」は、 ライプツィヒ、聖トーマス教会合唱団の演奏です。J.S.バッハも、長年この合唱団の音楽監督として活躍していました。1980年に録音されたこの「聖トーマス教会のクリスマス」というCDは、残念ながら廃盤になってしまったようです。演奏のはじめと終わりに聖トーマス教会の鐘の音が入っています。

 

 

 

 

 

 

春待月

投稿日:2013-12-18

鈍色の空から今にも雨か雪が降り出してきそうです。

郵便受けに、思いがけない方から喪中はがきが届いていました。日が短くなり、冷え込みがきびしくなるこの時期、大切な方を亡くされたご家族はどんなお気持ちで過ごされているのでしょうか。そう思うと胸が痛みます。

 

街にはイルミネーションがきらびやかに輝き、あちこちからクリスマスソングが聞こえてきます。その賑わいが遠い別世界のように感じられ、家にこもりがちだった時に、こんなことを書いて送ってくれた友人がいました。

 

 「12月の別名を知っていますか?春待月というのだそうです」

 

春待月、春を待つ月。そう考え始めたら、冷え切っていた心の中がじんわり温かくなってきました。あわただしい年の瀬にちょっと足を止め、自分のことを思い出してくれた人がいる。それも、うれしかったのかもしれません。

 

雪景色のクリスマスカードだったらお送りしてもいいでしょうか。春待月のことを、そっと書き添えてみようと思っています。


 

バラ窓のペンダント

投稿日:2013-12-12

心がカサカサしてきた時、必ず取り出すペンダントがあります。ある生徒さんのお母さまが欧羅巴へ行かれた時に買ってきてくださったロゾーネのペンダント。ゴシック建築の教会で見つける、ステンドグラスで作られた円形の窓をモチーフとしたペンダントです。


厳しい抗がん剤の治療を続けて、起き上がるのさえままならない時も、ご自宅にレッスンに伺うと、居間まで出てきて笑顔で話しかけてくださったお母さま。少しご気分の良い日には、レッスンのあと玄関の外で、蚊に刺されながら暗くなるまで語り合いましたね。帰りがけにふとバックミラーを見ると、あなたは米粒ほどになってもまだ、私の車に手を振り続けていました。

 

3人の小さなお子さまをかかえながら懸命に病と闘うお母さまの姿から、どれだけたくさんの勇気をいただいたことでしょうか。お母さまが天国に旅立たれてから、友人がロゾーネのペンダントについて教えてくれました。

 

「バラ窓から差し込むやわらかな光のように、あなたも人の心をあたたかく照らすことができますように」

 

そんな意味があるそうです。忙しさにかまけて、日頃忘れがちになる大事なことを、そのペンダントが思い出させてくれるような気がします。

 

ありがとう、お母さま。あなたの笑顔は、お子さまの中に、そして、私の心の中に生き続けています。今までも、そして、これからもずっと…

 

 

 

 

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