レッスン楽器


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井上ピアノ教室


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涼を求めて

投稿日:2014-07-30

旅の途中、軽井沢の千住博美術館に立ち寄りました。千住博氏は、ニューヨークにアトリエを持ち、世界を舞台に活躍している日本画家です。

 

美術館に足を踏み入れると、木漏れ日のような柔らかな光がふり注いでいるのに、まず驚きました。筒状の全面ガラスが埋め込まれた、仕切りのない開放的な建物。地形をそのまま生かし、ゆるやかに傾いている床。吹き抜けの空間から見える青い空や緑の木々が、千住さんの絵と一体となり、響き合っています。時おりベンチにすわり、雲の流れや風のゆらぎに身をまかせていると、時のたつのを忘れました。

 

トンネルのような通路をおそるおそる進んでいくと、一転して、真っ暗な展示室「The Fall room」が現れます。暗闇の中に浮かび上がる幅13メートルもの滝。前面には水が張られ、作品を映し出しています。ヴェネツィア・ビエンナーレに出品した、この「The Fall」を展示するためだけに作られた部屋です。暗闇が、作品の持つ幽玄さを一層、際立たせています。凛とした力強さがありながら、深い静けさを感じる作品でした。

 

「星降る夜に」という文字のない絵本の原画にも心惹かれました。一匹の子ジカが夜、流れ星を見つけます。その流れ星に導かれるように歩き出して、親から離れてしまい、一夜の大冒険が始まります。夜空に光る星空を鏡のように映してゆるやかに流れる川。静まり返った森。見ているとイマジネーションをかきたてられます。

 

外に出ると、白い紫陽花の上をひんやりとした風が吹き抜けていきました。友人と再訪を誓い、次なる目的地へと向かいました。

  

 

 

 

 

 

発表会に寄せて

投稿日:2014-07-23

日曜日にお暑い中、会場まで足を運んでくださいました皆さま、ありがとうございました。コンサートを陰ででささえてくださった関係者の方々、ご父兄の皆さまのお力添えにより、無事に発表会を終了することができましたことを心より感謝しております。

 

8年前、トリノオリンピックでフィギュアスケート金メダルに輝いた荒川静香さんがあるインタビューで

「目指した一日一日の積み重ねこそ五輪でした。本番は、その一日にすぎないのです」

と語られていたのが強く心に残っています。

 

発表会も、本番でうまくいった、いかなかったということ以上に、この日に向かって、思いをかけて積み重ねてきた日々に、大きな意味があるのではないでしょうか。

 

たった数小節のパッセージができなくて、一緒に涙することもありましたね。やってもやってもうまくいかなくて「もう、ピアノなんてやめたい」と思われた日もあったかもしれません。でも、それを乗り越え、続けてきたからこそ、舞台の上で最高の笑顔を輝かせることができたのですね。

 

これからもピアノのお稽古が、技術を伸ばすだけでなく、ご自身を磨くことにつながり、豊かな時間をもたらしてくれますよう願っております。

 

生徒さんも私も、客席の皆さまから頂戴したあたたかい拍手を胸に刻み、また明日から、一歩ずつ努力してまいりたいと思います。


ご父兄の皆さまより寄せられた感想は、イベント「2014年発表会」のページに掲載しました。 


 

リハーサルが終わって

投稿日:2014-07-08

7月5日のリハーサルは夜遅くまでお疲れさまでした。「ドキドキして頭が真っ白になっちゃった」「指が震えて、全く力が入らなかった」という声があちこちから聞かれました。人の前で弾くことは、本当に緊張しますね。

 

発表会が近づいてくると、誰もが「失敗してはいけない」という考えにとらわれてしまいます。たしかに、つかえないで最後まで弾きとおすことも大切なことです。そのために、最善の努力はします。でも、ミスのない演奏=良い演奏ではないのです。

 

良い演奏とは何なのでしょうか。答えは一つではないかもしれません。みなさんも、ご自分なりに、ちょっと立ち止まって考えてみてください。

 

リハーサルの後、生徒さんの表情がきりりと引き締まってきました。先生やお母さんに言われてやらされるのではなく、「自分でなんとかしよう」と立ち上がる。この気持ちが一人ひとりの中に芽生えてきたことを、何よりもうれしく感じています。

 

生徒さんがここまで積み重ねてきたものを、舞台の上ですべて出し切ることができるよう、精一杯応援していきたいと思います。

 

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