レッスン楽器


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井上ピアノ教室


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発表会に寄せて

投稿日:2015-07-20

お暑い中、休日の貴い時間を割いて会場まで足を運んでくださいました皆さま、ありがとうございました。コンサートを陰で支えてくださった関係者の方々、ご父兄の皆さまのお力添えにより、無事に発表会を終了することができましたことを心より感謝しております。

 

今日、ステージの上で力をふりしぼって、精一杯演奏している生徒さんの姿を拝見しながら、「継続は力なり」という言葉を改めてかみしめておりました。

 

ピアノのおけいこは楽しい時ばかりでなく、薄い半紙を一枚ずつ重ねていくように、コツコツと辛抱強く積み重ねていかなければならない側面もあります。長い道のりの過程には、やってもやってもうまくいかなくて「もう、ピアノやめようかな」と思われた日もあったかもしれません。でも、それを乗り越え、あきらめず、歩み続けてきたからこそ、舞台の上で最高の笑顔を輝かせることができたのですね。

 

中国の古い書物にこんな言葉があるそうです。

「長い間地上に伏せて、力を蓄えた鳥は、いったん大空に飛び立つと、ほかのどんな鳥よりも高く、長く飛ぶことができる」

 

長い時間をかけて鍛錬したものは、いつしか自分の血となり肉となり、生涯にわたって自分自身を支え続けてくれるものなのではないでしょうか。

 

これからもピアノのお稽古が、技術を伸ばすだけでなく、ご自身を磨くことにつながり、豊かな時間をもたらしてくれますよう願っております。

 

生徒さんも私も、客席の皆さまから頂戴したあたたかい拍手を胸に刻み、また明日から、一歩ずつ努力してまいりたいと思います。

 

 

リハーサルを終わって

投稿日:2015-07-08

しとしと雨が降り続き、梅雨寒の日が続いていますが、発表会が近づき、レッスン室は熱気でムンムンしています。

 

5日の文化会館でのリハーサルは、夜遅くまでお疲れさまでした。真っ暗な楽屋から、スポットライトの眩しい舞台へたった一人で出ていき、お辞儀をするだけでも、小さなお子様にとっては大変なことです。「手が震えて止まらなかった」「足がガクガクしてペダルがうまく踏めなかった」と、皆さんとても緊張されたようです。客席のお父様お母様も、お子様以上にハラハラドキドキしながら、祈るような気持ちで見守っていらしたのではないでしょうか。

 

リハーサルを境に、生徒さんの表情がきりりと引き締まってきました。先生やお母さんにやらされるのではなく、「自分でなんとかしよう」という気持ちが芽生えてきたことを、何よりもうれしく思っています。まだまだ課題はたくさんありますが、リハーサル前と後では、別人が弾いているのではないかと思うくらい、音の質が変わり、集中力も高まってきました。それぞれが、会場で手足が震えるほどの体験をして、言葉では言い表せない何かを肌で感じ取ったのだと思います。

 

本番が近づいてくると、誰しも「失敗したらどうしよう」という考えにとらわれそうになります。そもそも良い演奏とは、どういうものなのでしょうか?

 

完璧なテクニックで達者に弾いていても、つまらない演奏もあります。たとえミスがあったとしても、いつまでも心に残る演奏もあります。必ずしも、ミスすること=失敗、ではないのです。間違えることを恐れてチャレンジしないことこそ、最も怖いことだと思います。

 

お一人おひとりが、今、自分にできる最善を尽くし、自分なりの目標に向かってチャレンジしてゆくことができますよう、精一杯、支えていきたいと思います。

 

  

 

 

 

 

 

メトロノームの使い方

投稿日:2015-06-28

発表会が近づき、曲が通して弾けるようになると、「メトロノームを使って練習した方がいいでしょうか?」という質問をよく受けます。

 

結論から先に申し上げますと、練習の過程で補助的に使うのはいいのですが、メトロノームに頼りすぎるのはよくありません。ずっとメトロノームを鳴らしていると、自分の音を注意深く聴かなくなり、ただ指を動かすだけの無味乾燥な練習に陥ってしまう危険性があるからです。

 

楽譜の上には♪=80というような速度表示が書いてあり、気になりますね。でも、これはあくまでも目安ですから、絶対にその速さで弾かなければならないということではありません。

 

メトロノームの良い点は、音の数が少ない小節で速くなる傾向がある、歌いすぎて遅くなってしまうところがある、など自分の悪いくせを矯正できるところにあるのではないでしょうか。

 

16分音符の続く難しいパッセージを数小節取り出し、部分練習する時などにも使うことができます。メトロノームの拍子を鳴らさずに60くらいに合わせておき、初めは1音ずつ合わせ、次に2音ずつ、4音ずつ、8音ずつ…とだんだん増やしていくと、音の粒をそろえて弾くことに役に立ちそうです。初歩の方は「ゆっくり練習しようと思っているのに、終わってみたらいつの間にか速くなっていた」という時などに、少し使ってみるのもよいかもしれません。

 

皆さんは、曲が仕上げの段階に入り、全体を通して弾いた時に、メトロノームと合わなくて、もどかしさを感じたことはありませんか?でも、それはやっと、音楽の言葉(フレーズ)がつかめてきた証拠でもあります。曲を弾き込み、生きた間の取り方ができるようになると、機械と合わなくなってくるのは当然の成り行きなのです。

 

 

私達は話す時、無意識のうちに、大事な言葉を強く、長めにに発音したり、語尾を小さくしたりしています。音楽も同じで、リタルダンドと書かれていなくても、フレーズの終わりは、自然にていねいに弾いたりしています。メトロノームを使いすぎると、そういう微妙な息づかいをすべてそぎ落としてしまうこともあるので、注意が必要です。

 

 

メトロノームにいつまでも頼るのではなく、だいたいの感覚がつかめてきたら、あとは自分の耳と感性を信じて、自分の音楽を作り上げることに力を注いでいくのが望ましいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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