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今村惇子ピアノ教室


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ブラームス

投稿日:2020-03-05

ブラームスに戻ります。

やっと時間がとれるようになりましたので。

 

さてラプソディー1番ですが、

冒頭フェリックスを呼ぶFisの高い響きから、

下へ下へと転がり落ちていく旋律は、フェリックスへの届かぬ思いのよう。

何度も上へ跳躍を試みるが、また落ちていってしまう。ここは転調も

目まぐるしく、ロ短調、ニ短調、イ短調、ヘ短調、嬰へ短調と移りかわり

低い低い下のFisに着地する。

 

続く第二主題は子守歌のようなニ短調で始まります。

優しく、童謡のようでいてどこか物悲しい・・・

この旋律の始まりの3つの音は、ら〜れ〜み〜ですが、

これを前出のアナグラムにあてはめるとA-D-E-となります。

ADE アデーはドイツ語の古語で「さようなら」を表します。

英語のSee You.の「またね。また会いましょう」の感じではなくて

永遠に会えなくなるかもしれない・・さようなら・・なのです。

もしかしてブラームスがその言葉を込めていたとしたら、

本当に涙なくしては弾けない旋律です。

 

その後第一主題が再現されてADEの6度上のFis-H-Cisが導きだされて

主音H上、属和音で提示部が閉じられます。

 

ロンドソナタ形式のCにあたる展開部は

なお一層美しい4声(見た目は3声)で書かれています。

 

ソプラノがFisの属音保持。(鐘の音か?といわれているが、私は天使の歌声の

ように聞こえます。天使がフェリックスをよんでいるかのよう・・)

アルトは、先ほどの#ふぁ〜し〜#ど〜から #れ〜み〜と続いて

この世のものとは思われないくらいに美しいロ長調の旋律を紡ぎだします。

テノールは、その旋律の3度間の対旋律を形成し一緒に歌いあげ、

バスは主音の支え。完璧な構造でありながら、フェリックスへの想いに

満ち溢れている。素晴らしいです。

 

提示部がそっくり再現されて最後のコーダ。

低い低い声でアデー「さようなら」の旋律が歌われます。これは

ほかならないブラームスの声でしょう。

そして天国へ祈りをささげるかのように最後はBメイジャーの和音で

静かに消えてゆくのです。

 

 

 

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