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井上ピアノ教室


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欠点は魅力の宝庫

投稿日:2014-10-28

10月20日と24日の「お母さんのほっこりカフェ」には、お忙しいところお集まりくださりありがとうございました。両日とも子育て談義に花が咲き、あっという間の2時間半でした。次回は夜の部も開いてください、という声が上がっています。そうなると「ほっこりバー」と名前を変えなくてはいけませんね(笑)

 

ピアノのおけいこは、生徒だけ、先生だけががんばっても、なかなかうまくいきません。お母さまが、かげで教師の足りないところを補ってくださるからこそ、成り立っているのだと思います。いつも行き届かぬところばかりの私をささえていただいて、本当にありがとうございます。

 

ほっこりカフェでは「子どもをほめようと思っても、欠点ばかりが目について…」という声が多数寄せられました。「内気で自分の感情をなかなか表現できない」「すべてにおいてマイペースで困る」「落ち着きがない」など、お母さまから見ると、欠点にしか見えないお子さまの性格も、私から見ると、そのお子さまにしか持ちえない個性、素晴らしい魅力に見えます。

 

内気な性格でも、実は、豊かな感性を持っている方がいます。心の奥底はボールのようになっていて、たまたまそのお子さまは、表に見えている部分がほんの少しだった、というだけのことではないでしょうか。私たちはつい、目に見えるものや耳に聞こえるものに反応してしまいますが、言葉にならない心の声に耳を澄ますことを、忘れてはならないと思います。

 

「マイペース」も、見方を変えれば、「まわりに流されない」という立派な長所になります。じっくりと、マイペースで取り組まれる生徒さんに出会うたびに「静かに行く者は健やかに行く。健やかに行く者は遠くまで行く」という諺を思い出します。「落ち着きがない」も、「何かをするエネルギーに満ちている」と考えることができますね。

 

その人の最大の長所は、意外と、最大の欠点のすぐそばにあるのかもしれません。

 

 

 

力をぬくためには?

投稿日:2014-10-14

小中学生の皆さんは、今日、明日と秋休みですね。嵐が過ぎ去り、さわやかな青空が戻ってきて本当によかったです。

 

さて、今月から、生徒さんやお母さまから寄せられるご質問にお答えする形で、「おけいこのヒント」を少しずつ綴っていくことにしました。

 

まずは、「肩やひじに力が入ってしまうのですが、どうしたらいいでしょうか」というご質問です。「いかに力をぬくか」ということは、習い始めた方ばかりでなく、ピアノを志す者にとって、永遠の課題でもあります。力をぬいた状態の中で、深く精神を集中させていく。そういう状態を、いつ、どんな時でも作り出せたらいいですね。

 

肩や腕の力が自然にぬけるようにするためには、正しい姿勢を作り、重心を安定させることが大切です。椅子は真ん中よりもややうしろにすわり、腰をしっかりと安定させて、背筋を伸ばします。無理に伸ばすのではなく、安定した腰の上に上半身をのせ、胸を軽く開くような感じです。中学生以上の生徒さんには「骨盤を立て、体の中心軸を意識するように」と伝える場合もあります。

 

初心者の方は、椅子の高さやピアノからの距離に、注意を向けることが必要です。椅子が高すぎるとひじが突っぱってしまいます。低すぎるとひじが下がって、手首の方があがってしまいます。肩の力をぬいて、ひじを自然に曲げたとき、ひじから手首にかけて、水平になるくらいが理想です。床に足がつかない小さなお子さまは、足がふらふらすると安定しないので、足台を使いましょう。

 

正しい姿勢を心がけ、肩、腕、ひじ、手首などから、いかに余計な力をぬいていくか。きれいな指の形も、美しい音も、豊かな表現も、すべてはそこから始まります。

 

野球選手は腰で打つ、バレリーナは腰で立つ、と聞いたことがあります。身体を動かす基本は、どの世界でも似ているものなのですね。

 

 

 

カンテラの灯り

投稿日:2014-10-05

若い頃は、子育てをしながら仕事をすることに精一杯で、まわりのことを見渡す余裕はほとんどありませんでした。でも、人生の折り返し地点を過ぎ、子供たちにも手がかからなくなってきた頃から「社会を担っていく世代になったというのに、このままでいいのだろうか」という疑問が頭をもたげてきました。

 

生きていると、突如として思いもよらぬ試練に見舞われることがあります。出口の見えない暗闇のトンネルの中を、来る日も来る日もさまよい続けたことがありました。もうだめだ、とあきらめかけた時、遠くかすかに、灯りがゆれているのが見えたのです。「こっちだよ。こっちだよ。」とカンテラを持った人が現れて、道を照らしてくれたのでした。力尽きそうになった時、もし、あの小さな灯りがなかったら、歩き続けることはできませんでした。苦しみを勇気に、悲しみを希望に変えてくれたカンテラの灯りのように、今度は私が、自分の置かれた場所で誰かの力になりたい。心の底からそう思うようになりました。

 

ピアノを教えるというのは、ただ技術を伝えるだけでなく、人の心を育て、ささえていく仕事なのではないかと考えています。今、子供たちは、学校でも家庭でも、がんばれ、がんばれと言われ続け、とても疲れているようです。どこかに、やり場のない気持ちを受け止めてくれる居場所があれば、明日からまた、新しい世界にチャレンジしてゆけるのではないでしょうか。お子さまにとっても、お母さまにとっても、ピアノ教室が、そんな「心の拠り所」のひとつになってくれたらと願っています。

 

台風の進路が気になりますね。明日の通勤、通学への影響ができるだけ少なくすみますように…

 

 

 

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