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井上ピアノ教室


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メトロノームの使い方

投稿日:2015-06-28

発表会が近づき、曲が通して弾けるようになると、「メトロノームを使って練習した方がいいでしょうか?」という質問をよく受けます。

 

結論から先に申し上げますと、練習の過程で補助的に使うのはいいのですが、メトロノームに頼りすぎるのはよくありません。ずっとメトロノームを鳴らしていると、自分の音を注意深く聴かなくなり、ただ指を動かすだけの無味乾燥な練習に陥ってしまう危険性があるからです。

 

楽譜の上には♪=80というような速度表示が書いてあり、気になりますね。でも、これはあくまでも目安ですから、絶対にその速さで弾かなければならないということではありません。

 

メトロノームの良い点は、音の数が少ない小節で速くなる傾向がある、歌いすぎて遅くなってしまうところがある、など自分の悪いくせを矯正できるところにあるのではないでしょうか。

 

16分音符の続く難しいパッセージを数小節取り出し、部分練習する時などにも使うことができます。メトロノームの拍子を鳴らさずに60くらいに合わせておき、初めは1音ずつ合わせ、次に2音ずつ、4音ずつ、8音ずつ…とだんだん増やしていくと、音の粒をそろえて弾くことに役に立ちそうです。初歩の方は「ゆっくり練習しようと思っているのに、終わってみたらいつの間にか速くなっていた」という時などに、少し使ってみるのもよいかもしれません。

 

皆さんは、曲が仕上げの段階に入り、全体を通して弾いた時に、メトロノームと合わなくて、もどかしさを感じたことはありませんか?でも、それはやっと、音楽の言葉(フレーズ)がつかめてきた証拠でもあります。曲を弾き込み、生きた間の取り方ができるようになると、機械と合わなくなってくるのは当然の成り行きなのです。

 

 

私達は話す時、無意識のうちに、大事な言葉を強く、長めにに発音したり、語尾を小さくしたりしています。音楽も同じで、リタルダンドと書かれていなくても、フレーズの終わりは、自然にていねいに弾いたりしています。メトロノームを使いすぎると、そういう微妙な息づかいをすべてそぎ落としてしまうこともあるので、注意が必要です。

 

 

メトロノームにいつまでも頼るのではなく、だいたいの感覚がつかめてきたら、あとは自分の耳と感性を信じて、自分の音楽を作り上げることに力を注いでいくのが望ましいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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