レッスン楽器


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伊藤恭子ピアノ教室


インタビュー

ピアノと童謡に囲まれた幼少時代、大好きな先生との出会い。
自分の経験と重ねながら、人とのつながりを大切にしていきたい。

先生がピアノを始めたきっかけを教えてください。
  • 伊藤恭子(いとうきょうこ)
  • 活水女子短期大学音楽科ピアノ専攻卒業
  • 1988年度文化庁芸術家国内研修員
  • 2003年カワイ音楽コンクール九州大会最優秀指導者賞受賞
母親がピアノ教師だったので、小さい頃から家にはピアノがあって、いつも周りには歌や童謡、音楽があふれていました。私は喘息持ちで体がとても弱かったので、母が将来家でも仕事ができるようにと、3歳の頃からピアノを教えてくれるようになりました。
ピアノは大好きで、いままで一度も辞めたいと思ったことはないんです。幼い頃からつらいときや父に怒られたときなど、ピアノを弾くことで自分の気持ちを発散していたように思います。
学校ではおとなしい子どもでしたが、ピアノが弾けることで、クラスの中の自分の居場所を確立できたような気がします。
ご自身の経験が現在の教室に反映されている部分はありますか。
小さい頃から母親がよく童謡を歌ってくれましたし、私自身も声楽を学んでいたこともあって、小学生までの子どものレッスンには童謡を取り入れています。毎回ピアノのレッスンに入る前に、「やぎさんゆうびん」「こぎつね」「うみ」などの生徒の好きな童謡を2〜3曲歌うんです。ピアノを弾くことは楽器を使って歌うことでもあり、歌うように弾くことが大事なので、歌はとても効果的です。それに、声を出して歌うと気持ちの発散にもなって気持ちがいいんです。いつも子どもたちを見ていると、本当に歌が大好きなんだなと感じます。
ほかにも、歌詞がない曲に想像をふくらませて歌詞をつけたり、歌いながらピアノを弾いたり、歌に体の動きをつけたりすることもあります。歌に合わせて足を閉じたり開いたり、段差を登ったり降りたり、体の動きと音楽を連動させることで、音を体全体で感じられるようになって、スムーズにピアノが弾けるようになります。子どもたちも喜んでやってくれるので楽しいですね。
ほかにもピアノを教える上で影響を受けたことはありますか。
やはり出会いは大きいですね。小学校3、4年生くらいから、母ではなく他の先生に習うようになったんですが、その頃出会った先生はとても個性的な方で、いまでも大好きな先生です。未熟な私にもどんどん演奏する機会を与えてくれて、文化庁芸術家国内研修員になるきっかけも作ってくれました。現在、生徒にピアノを教える上でも影響は大きいと思います。
ピアノを弾くにはイメージがとても大切ですが、イメージするためにわかりやすい言葉で伝えてあげることが大切だということもその先生から学びました。
そういったたくさんの出会いがあってこそ今の私がいるので、自分自身の経験を重ねながら、いまの生徒やこれから出会う生徒たちとのつながりを大切にしていきたいと思っています。

ピアノ演奏もピアノを教えることもベストを尽くす。
生徒と向き合う時間は一瞬一瞬がかけがえのないものだから。

現在、先生としてピアノを教える傍ら、ピアニストとして演奏する機会も多いそうですね。
学校を卒業してから今まで、ピアニストや伴奏者として、演奏会やコンサートなどで活動しています。私にとっては、ピアノを演奏することもピアノを教えることも、どちらもとても大切なことです。常に現在のベストを出せるようにやっています。
どんな思いでピアノを教えていらっしゃいますか。
ピアノを教えるということは、生徒のかけがえのない貴重な時間を預かるということですし、生徒の心にもずっと残っていくことだと思います。もちろんピアノのテクニックやソルフェージュの力をつけることも大切ですが、生徒には人間としても成長していってもらいたいと思っているので、その成長を身近に見ることができる喜びと責任を常に感じています。教える立場である私自身も、幅のある豊かな人間でいられるよう、日々成長していかなくてはと思います。

みんながホッとできる、地域に根付いた教室にしていきたい。
そのためにいつも笑顔で、生徒に愛情を持って接しています。

先生の教室にはどんな生徒さんが通われていますか。
幼稚園児から77歳の方まで、幅広い年齢層の生徒さんたちに通っていただいています。
たとえば、ピアノを習い始めて8ヶ月の高校生の男の子は、即興演奏やオリジナルのスタイルで弾くのが得意です。譜面は読めませんでしたが、登下校中などに浮かんだメロディを音符で表現したいというので、最近では譜面を書く勉強もしています。
大人の生徒さんは「この曲が弾きたい」「いつのパーティーで披露したい」など、具体的な目標を持ってピアノを始める方が多いですね。弾けるようになって達成感を味わうと、次の目標設定や選曲がとても大事になってくるので、常にアンテナを張って、生徒の好きそうな曲や興味のありそうな曲を、先回りして提示してあげるようにしています。
子どもも大人もできるだけ個々のやる気や持ち味やペースを崩さずに、よりよい方向に導いてあげたいですね。
奥様のために「知床旅情」を弾いてあげた、なんていう生徒さんのお話を聞いたりすると、本当にうれしいです。
ピアノを教えるときにいつも心がけていることを教えてください。
相手が子どもであっても大人であっても、一個人として敬意を持って接するように心がけています。「〜しなさい」とは決して言いません。相手に合わせて、はっきり、ゆっくり話し、丁寧でわかりやすい言葉遣いにも気をつけています。
何より心がけているのは、いつも笑顔でいること。生徒を迎えるときも、送り出すときも、どんなにレッスンに熱が入っていようと、注意したあとでも、最後には必ず笑顔です。生徒からもよく「先生が怒るところを見たことがない」と言われますね。
1回のレッスン時間は短いですが、生徒にとっては、たったひとりのピアノの先生です。いつどんなときでも生徒には愛情を持って接しています。
今後、どんな教室にしていきたいと考えていますか。
地域に根付いた教室にしていきたいです。小さな子どもから年配の大人まで幅広い年齢層の生徒たちが通えて、みんながいつでも“ほっとできる場所”でありたいですね。
日々、人それぞれ、いろいろなことがあると思います。ときには、つらいことや悲しいこともあるかもしれません。それでも、この教室だけには来よう、この教室でピアノを弾こう、そんなふうに思えるような場所であり続けたいと思っています。

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