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ピアノ教室コンセール・イグレック♪


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お久しぶりです!〜近況報告からフォルテピアノアカデミーについて〜

投稿日:2022-07-15

夏休みを前に、3連休ですね。

またまたブログ更新が久しぶりになってしまいました。

 

5/19に辻井伸行、6/2に反田恭平、6/15に小林愛実、6/19にはホロヴィッツピアノを使った江口玲(東京)、7/1にアレクサンドル・カントロフの各リサイタル、その他地元の演奏家のコンサートもたくさん聴きに出かけ、その間菰野ピアノ歴史館の楽器にナディアパークとJRゲートタワーのストリートピアノを弾き、小倉貴久子先生のフォルテピアノレッスンを受けに、6月2回めの上京。

このレッスン、昨年から5回めのレッスンにして、やっとフォルテピアノのタッチにも少しばかり慣れ、ピアノの奥義に触れることができました。

 

これを早いと言うべきか、呑気と言うべきか。(笑)

フォルテピアノを弾くためのテクニックは、我々が普通に弾いているテクニックのベースであり、奥義。けれどもピアノの現代化に伴って、モダンピアノのテクニックが乱れに乱れてきている。いろんな弾き方が横行し、それがさも個性的であるかのように言われたりして。現在ピアノを学ぶ人たちが混沌に陥りやすい要因となっている。そこの根幹が漸くわかりかけた感じ。

 

という訳で、自分のスキルアップに時間をかけていたのですが、その後7月9日に東文化小劇場をお借りして、8/7に門下生コンサートを控えている生徒たちとホールリハーサルをしました。

私も30分ほどホールで練習をし、このところを考えていることをドビュッシー作品などを弾きながら確認しました。

 

13日には名古屋市内にあるフォルテピアノ、シュタインをお借りして、バロック作品を練習してきました。これは7月21日から始まるSACLAフォルテピアノアカデミーの受講生に選抜されたので、そのための練習でもあります。

そして2日後の15日には、9月21日にピアノ連弾コンサートを企画している相方のピアニスト鬼頭久美子さんとプログラムの最終確認と初合わせ。

 

連日違うプログラム曲のまとめに大わらわでしたが、すべてをやりこなし、その日鬼頭さんの車でしらかわホールに出向き、今年90歳を迎えるホアキン・アチュカロのモーツァルト協奏曲を聴いてきました。

2階席から、持って行った双眼鏡で指元がとても良く見え、そのやわらかな身体の使い方は流石に素晴らしいと思いました。陽光に照らし出された大理石をイメージさせるような神々しさに満ちた音色。心が洗われました。

 

門下生コンサートのプログラムも出来上がり、ほっと一息ついている、この週末です。

 

 

さて、次の金曜日から始まる先述のSACLAフォルテピアノアカデミーについて書いてみようと思います。 

 

7月22日から24日まで行われる〈SACLAフォルテピアノ・アカデミー〉に受講生の一人として参加が決まり、3日間完全連続学生になれるとあって、上京を控えてワクワクしているんです。

 

私の教室の生徒さんや周囲の友人たちも、何を今更勉強するの?という感じで思っていらっしゃる方も多々いると思うので、このアカデミーについて少しまとめてみましょう。

 

まず22日の初日午前11時から、このアカデミーの主催者であるフォルテピアノ奏者小倉貴久子先生と今年度のアカデミーでのもうひとりの講師を担当される川口成彦さんによる6台のピリオド楽器によるオープニングソロコンサートが開かれます。そして午後1時からホールと第一リハーサル室の2会場で小倉先生と川口先生のレッスンが開始されます。午後6時50分まで18名の生徒がレッスンを受けるところを、ご来場いただいた聴講生の皆様方は自由に聴講できます。

 

2日目の23日は、午前10時からレッスン開始、午後1時からクラヴィコード奏者の西野晟一朗さんによるコンサートが開かれ、14時から再び2会場でのフォルテピアノレッスンが開始されます。夕方5時半からは西野先生によるクラヴィコードについての講座があります。またこれらと並行して11時からクラヴィコードワークショップが開かれ、10名ずつの5グループ=50名が、西野先生から実際にクラヴィコードのタッチなどを学べます。このクラヴィコードワークショップは一般の方の当日参加も可能だそうです。

 

そして24日最終日は午前10時からレッスン開始、午後1時からは小倉貴久子先生と川口成彦先生の2台フォルテピアノコンサートが開かれます。そして2時20分からレッスン再開、夕方5時15分からはなんと18名の受講生によるコンサートが開かれます。そして午後7時45分の閉会式を持ってアカデミーは幕を閉じます。その間受講生は連日でレッスン受講のほか、練習室ではジルバーマン他3種類の楽器を練習することができ、その他夕方、すべてのレッスンが終了してからはホールに置いてある楽器を夜9時まで自由練習することができます。

 

学生側も自分以外のレッスンを聴講するもしないも自由ですし、夜の自由練習はもちろんしないで夕方帰ってご飯を食べることもできますが、やる気によっては、朝10時から夜9時まで3日間缶詰のアカデミーライフ、今からワクワクです。

 

自分でできる限りの準備はしたつもりですが、見たことも聴いたこともない楽器でぶっつけ本番的な形でレッスンが始まるし、3日後にはコンサートで何か1曲弾かなくてはいけないというところが、超ワクワクです。

 

フォルテピアノにご興味のある方は、ぜひ一日体験されては?と思います。

お問合せ、詳細は↓

https://fortepianoacademy.jimdofree.com/

 

私のフォルテピアノ体験は2018年に出かけたワルシャワでの第一回ショパン国際ピリオド楽器コンクールの会場で、ステージ上にあった3台のピリオド楽器を奇しくも当日の調律師さんの計らいで弾かせてもらうことができた体験に基づいています。

 

モダンピアノとは鍵盤の大きさも深さも違う、タッチのコントロールがまるで違っていながら、しかし何とも言えない魅力的なその音色の広がりにいたく感動して以来、勉強する機会があればと思っていました。そして小倉貴久子先生の元に通い始めて2年めになりますが、漸く少しばかりタッチに慣れてきましたが、そこにあるテクニックの奥義はバロックだけに留まるものではなく、現代ピアノのテクニックの根本に繋がるものと確信を強くしています。

 

現在通っている社会人生徒さんたちは私の変化に敏感に反応し、毎回のレッスンの充実ぶりにとても感動してくれています。ここ最近入会された生徒さんはとてもタイムリー&ラッキーだと思います。まぁ正しい勉強というものは、一生やってもやり切れるものではない魅力に満ちたものと言えるでしょう。

 

アカデミー会場には名古屋から友人のピアニストが参加する日もあり、また東京在住の教室OBや友人が聴講に来てくれると言っていて、楽しい再会にもワクワクです。

 

アカデミー後いくつか用事を済ませて戻ってくると、8月7日「ピアノ教室コンセール・イグレック門下生コンサート2022」(美サイレントホール、12:30〜16:00)まで、ごくわずか。

 

2年ぶりの開催になる門下生コンサート、ぜひイベント欄をご覧になっていただき、お時間あればご来場ください。

 

私のピアノ教室の雰囲気や指導方針などが伝わる、一番いい機会かと思います。

 

生徒たちひとりひとりの思いのこもった演奏のあと、私のミニコンサートもございます。

 

それでは暑さ続きますなか、どうぞ皆さまお身体お大切に!

 

 

 

3月30日から5月13日を駆け抜けて!

投稿日:2022-05-18

ブログ読者の皆さまへ

先日からパソコン不調のため、ブログ更新がうまくゆかず、スマホでFacebookにあげているものばかりコピペして紹介するに留まっておりました。

Facebookは見ないという読者もたくさんいらっしゃると思いますので、重複することもあるかと思いますが、ブログにもあらためたいと思います。

 

 

まず4月27日の《YOSEコンサートseason 9》にご来場いただいた皆さま方、本当にありがとうございました。

 

当日は、プログラムのいちばん最初にこっそりとショパン作曲「春」を、アンコールにはドビュッシー「アラベスク第1番」を演奏させていただきました。

 

このコンサート、「もうすこし早く案内くださればよかったのに。」とたくさんの知合いから言われました。

実はこのコンサート、演奏依頼が来たのが忘れもしない3月30日。そう、この日の週末は高山出張やら行きたいコンサートなど予定が立て込んでるから「きょうのうちに桜見に行っとこ〜。」っと、午前中から山崎川の桜を見てふらりと帰り、家で悠々コーヒーを飲んでいたところ、ミュージックステーションからメッセージ。

最初はコンサート出演に何らかの都合で穴が開いて1、2曲弾くのかな〜と思っていたら、4月27日になんと45分のプログラムを、と。普通はこのくらいのコンサートだったら、短くても3か月前、長ければ半年、1年近く前ってこともザラでしょ?

 

でも〈YOSEコンサート〉って何か企画自体が面白そうだし、ゴールデンウィークに2箇所ピアノ工房を訪ねる予定が入っていて自分の好きなドビュッシーの曲を録音してこようと思っていたので、その前ということは「どうせは練習するわけだからやってみるか。」ということで、即お返事。こんな感じでどうですか〜とプログラムを即刻提示、そこから日夜推考を重ね、「最終プログラム決定、コンサート用メッセージとプロフィール」を提出したのが5日め。フライヤーが送られてきたのが10日めの、コンサート18日前。

フライヤーを見て初めて他の出演メンバーのお名前を知りました。その辺りから、練習に熱が入り出したのは言うまでもありません。

しかし会場のピアノも弾いたことはないし、プログラムをさっさと提出してしまったのはいいけれど、楽器のこと考えてなかった!

ショパン/24の前奏曲〜第8番、ドビュッシー/喜びの島、と、かなり高難度の曲を入れてしまってどうしよう。でも曲を考えるのに時間があったらなんだかんだ言って、逆にこんなプログラムは入れられなかったことだろう。どんな事情があろうと、お客さまには関係ない。やるしかない状況、それに7日×4の28日間というタイムリミットが、どれだけ私をいい練習に導いてくれたことか。……

 

〜〜〜眼と耳のはざま。・・・フランスで受けた数々のレッスン、ある日のPascal Rogé パスカル・ロジェ氏の言葉がよみがえった。「Control, just like riding a horse ! 」・・・感覚とコントロールのはざまで、音の撓りを聴く。そこに私の場合、落ちついた眼力が必要。もっともっと効果的な眼の使い方があるのではないか。これは自分のそそっかしさにも通じるところがある気がする。

文書の読み落とし、注意すべき視点の見落とし、etc. これからの10年でこのそそっかしいところがどんどんなくなっていくといい。そうなればもっと練習の純度はあがるだろう。今回のコンサートで得た勉強の報果。〜〜〜 

 

「聴きに来てよかった。」「素晴らしかった。」「何かが変わった。」「音を楽しんでいる。」「魂を吹き込む音色の数々。」・・・とすでにたくさんの感想メッセージや書込みをいただきました。事務所からアンケートを送っていただきましたので、少しだけコラージュしてFacebookのほうに添付してみました。

 

本番に向けて様々な励ましをくださった友人知人たち、遠方から聴きには行けないけれどこころある応援エールを送ってくださった方々、本番前に時間を作って演奏を聴いてくださった方たち、そして久しぶりに私の本番演奏を聴いてくださった知人たち、素敵なママになって聴きに来てくれた教室OGたち、学校の帰り道に駆けつけてくれた教室OB、有休取って京都から駆けつけてくれた友人、仕事の合間の寸暇を惜しんでご来場いただいた方々などなど。コロナ禍で終演後の面会はままなりませんでしたが、客席の中に皆さまのお顔を見つけることができたこと、また初めて私のピアノを聴いてくださったYOSEコンサートファンと覚しきクラシック音楽愛好家の方々(帰り道にお声をかけてくださった方も!)、私にとってすべてがかけがえのないご褒美でした。

 

そして最後に、無茶ぶりをくださったミュージックステーションの伊藤直樹氏に、大感謝です!

     

 

こうして4月27日のYOSEコンサートは好評のうち無事終了し、以前からの予定通り、4月30日午前中には滋賀県の「びわ湖クラシック音楽祭」へ。第一回ショパン国際ピリオド楽器コンクール第2位のフォルテピアノ奏者川口成彦さんのコンサートを聴きました。1843年製プレイエルの柔らかい音色、朝から心地よかったです。半年ぶりくらいで川口さんのライヴが聴けて幸せでした。そして午後は京都の森田ピアノ工房で、1927年製エラールのフルコンを弾かせていただきました。こちらは現在教室に置いている1935年製ブリュートナーを購入した楽器店で、お気に入りの森田サウンドのエラールだなんて、もう至福のひとときです。

    

 

また5月6日には、掛川市のかねもホールにて、かつてバックスハウスが所蔵していたという曰くつきの1898年製ベーゼンドルファーインペリアル第一号を弾かせていただきました。

3月に初めてこのピアノを弾いた時、何かこの楽器の持っている魂に導き出されるような不思議な感覚がありました。

「きょう、また久しぶりに再会できたね。」と言いながら、ピアノを弾き出した私。最初は練習のように弾けるかな、なんて自分のエゴがちょくちょく出ていましたが、練習時間の後半には頭の中は真っ白になり、何も考えないまま勝手にこの楽器に指を持っていかれるような感触がありました。

 

このピアノは、Andras Schiffアンドラーシュ・シフ 、遠山慶子という素晴らしいピアニストたちのもとを経てこのかねもホールにやってきたそうですが、また現所有者のもとに持ち返られます。奇しくも、このホールでのこのベーゼンドルファーインペリアルの最後の弾き手となりました。

 

最後はこの楽器の管理人でもあるGala工房の高橋 恭子さんにドビュッシーの「映像第2集〜金色の魚」を聴いていただきました。いや、ベーゼン君と3人でこの曲を鑑賞しあった、と言った方がいいかもしれません。それくらい不思議な時間でした。

その繊細な音色から、水面がざわめいている様子、金色の魚が飛び跳ねている様子、金の鱗が陽の光を受けて飛び回っている様子、そんな光景が視覚となって目に見えるようでした。ドビュッシーが描いた音による絵の世界が、手に取るように、ピアノを弾きながら見えた、という初めての感覚。感極まって目頭が熱くなりました。

一緒に聴いてくださった高橋さんも顔を赤らめ、感激してくださいました。こんな素晴らしい音楽体験を提供してくれる、まるで生きもののようなこのピアノ。

 

教室の有志生徒も数名が掛川まで出かけたようで、このピアノで練習出来、大変音色が変わりました。

また再会できる日が、きっときっとありますように!

 

    

 

*この森田ピアノ工房エラールと掛川ベーゼンドルファーインペリアルでの録音は、youtube{黒田ゆか}にアップいたしました。

ぜひ聴き比べ等、お楽しみください。掲載曲目、ドビュッシー/「月の光」https://youtu.be/1esDhgPrEO8「アラベスク第1番」「金色の魚」「喜びの島」、ショパン/「ノクターン第2番」https://youtu.be/997KW15Hlxc「春」https://youtu.be/1meGfuS5mP8「24の前奏曲より第7番、第8番」ほか  

★ぜひチャンネル登録もよろしくお願いいたします!!!

 

 

5月12日は東京でした。昨年から小倉貴久子先生のもとフォルテピアノのレッスン受講を始めたのですが、4回めにしてやっとジョークが飛び交う?ようなレッスンになってきました。(安堵!)

 

そして東京滞在2日め、私にとってまさに<事件>が起こりました。

いや、新幹線チケットにクーポンがついていたので、朝から〈渋谷スカイ〉に昇り、同じ渋谷のカフェ・タカギクラヴィアでランチしよう、って思い、高木さんに聞いてみたら「カフェは休業中、ランチは出せないけどコーヒーくらいなら。」とお声がけいただき、タカギクラヴィアへ遊びに伺いました。

カフェテラスで美味しい珈琲をいただきながら、小一時間もお喋りしていたでしょうか。

不意に高木さんが「それじゃ、ピアノ見に行きましょうか?」とスタジオに入らせてくださったのです!

 

  

 

写真左からホロヴィッツが愛し、カーネギーホールで活躍した1887年製ローズウッド、CD<ホロヴィッツinロンドン>などに納められている1912年製NYスタインウェイCD75、ラフマニノフが所蔵していたというNYスタインウェイに、憧れの1843年製プレイエル。一緒に写っているのは「ホロヴィッツ・ピアノの秘密」https://webshop.yamahamusic.jp/domestic/products/detail.php?jan=9784276210592 「今のピアノでショパンは弾けない」「スタインウェイ戦争」などの著作で知られる、タカギクラヴィア社長の高木 裕さんです。

 

もうほんと、夢のような時間。・・・ホロヴィッツが東京で見つけ、こよなく愛したといわれるローズウッドは、甘い香りがする和音が溶けこむような素敵な音色、CD75で弾いた「喜びの島」では、とても軽やかな鍵盤の反応がこの曲の中にずっと現れ出る海の波の動きをとても自然に表現することができ、これまた初めての感動的な体験でした。

でもホロヴィッツピアノの倍音の見事なうねりをどこまで引き出せたか、まだまだ腕の磨き上げにはこれから可能性がいっぱいの私です。

 

この2台の奥に写っているのが、ラフマニノフが10年間自宅で使っていたという1932年製NYスタインウェイ。

私はこのピアノで思わずドビュッシーの「レントより遅く」を弾いてみました。音色を聴いているとラフマニノフとホロヴィッツが親しげに連弾している様が目に浮かぶようだねと高木さんはおっしゃっていました。

 

ショパンが生きていた時代のプレイエルについてはとても感慨深いものがありました。これは4月30日に先述の「びわ湖クラシック音楽祭」で、川口成彦さんが使ったばかりのものです。

私はこの年代のプレイエルで、いつの日かオールショパン・プログラムで演奏会をしたいという夢がありますが、2018年ワルシャワで、第一回ショパン国際ピリオド楽器コンクールのステージ上にあったプレイエルを図らずとも弾かせていただく時間が束の間あったのですが、ほとんど自在には弾けなかったその時に比べれば〔とりあえずは〕弾けるようになってきた、というくらいかな。

 

昨年から小倉貴久子先生のもとで習い始めたフォルテピアノ。プレイエルよりもっと難しいWalterワルターを使ってのレッスン受講。そこで修行を積んでいるのが少しずつ実ってきてはいるのかナ、という実感。

 

こうした巨匠たちの魂のこもった銘器を弾かせていただくと、ほんとうに向こうから楽器が教えてくれる。

 

ピアノの奥の奥は、大変深いです。

私も一生、勉強していきます。

 

 

 

コロナ禍、3回めの桜

投稿日:2022-03-27

皆さま、桜の季節になりましたね。いかがお過ごしでしょうか。 

            

 2020年のコロナパンデミック宣言から、皆様方の価値観も多様化してきていると思います。

 

最初の1年めは、コロナなんかに負けない、前を向いてしっかりと切り抜けよう、レストラン業者に再開の支援を、農業生産者たちに支援の輪を、など色々な情報もめぐり、活力があったように思われます。

しかしこのコロナ事情も一進一退しながら3年めに突入し、また今年の北京オリンピック以降は世界事情も一変し、皆さまの心には少なからず焦燥の思いと停滞感のような影を落としてきている方も多いのではないでしょうか。

 

コロナ元年には、「音楽は心の滋養!」「コロナ禍の今こそ音楽の力を!」など叫ばれていたように思いますが、このところテレビのいろいろな番組でもグルメ情報ばかり。こんなご時世、コロナになってしまうならその前に美味しいものでも食べておこう、コロナで飲めなくなっちゃう前に特上のワインでも飲んでみよう、みたいな発想も出てきているかもしれません。

 

そして私が携わっている〈純然たるクラシック音楽〉は一部の愛好家のものにとどまり、せっかくたくさんの人たちに開かれ始めていた領域が少しずつ変わりつつあるような気がしています。

 

それは、コロナ禍でクラシック音楽の外来演奏家によるコンサートが開催されにくくなったこと、コンサートが開催されても客席数を減らして少人数の形でしか発信できないものになったこと、それに伴いチケット購入競争が激しくなり、気ままにコンサート鑑賞するのがたいへん難しくなってきていること、少しずつコンサートに出向き始めていた方たちがステイホーム志向で足を運びにくくなり、YouTubeなどオンラインミュージックだけで容易にクラシック音楽を親しめるようになり、海外の先生方のオンラインレッスンや内外コンクールのオンライン審査も増え、年代を問わずオンラインを通したサウンド志向になりつつあること、ピアノコンクールやピアノ発表会、学校行事の吹奏楽コンサートなどが開催されても関係者のみ対象となり公共性が薄れてきていること等に、いろいろな思いがあります。

 

 

私は幸い20代30代の若い時代に、ヨーロッパで世界的ピアニスト、とりわけフランスピアニズムの伝統を踏まえたテクニックと感受性をお持ちの、私の大好きなおふたりのピアニスト、パスカル・ロジェとジャン=フィリップ・コラールの両先生にたくさんのレッスン受けた貴重な経験、そこで培った音楽的感性と耳、そして正確なテクニックを、この、純粋な芸術がどこまで求められるのかという厳しい時勢のなかで、凛とした気持ちで教え、伝え続けていきたいと思っています。

 

 

そして、そんなこんなの中ピアノを弾いていられることを私は幸せに思い、自分にやれることをやっていきたいと思っています。

 

そう言えば先日、20世紀の名ピアニストバックハウスがかつて所蔵していたという素敵なピアノを弾かせていただきました。

その時の録音から「月の光/ドビュッシー」をお届けします。

  https://youtu.be/oxBDiaBN0dk

 

                

 

皆さま、どうぞお元気で!

 

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