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向山敦子ピアノ教室


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アナグラム

投稿日:2019-12-19

まずラプソディー作品79−1 ロ短調から

冒頭 Fis の叫び

これは、Felixの音オンを考えれば、フェリックス!!と

呼びかけているようでしょう? 実際 ブラームスは

フェリックスの詩に曲をつけるとき Fis−durを

用いているらしい。

 

作曲においてアナグラムという手法がある。

大切な人の名前や自分自身の名前を音名におきかえて

曲の中にとりこむことです。例えば、BACH バッハですと

Bはシの♭  Aはラ  Cはド   Hはシ となります。

バッハはこの音列を用いて曲を書いています。

 

ブラームスも弦楽六重奏曲第2番 第1楽章の

ヴァイオリンパートの音型に ラ−ソ−ラ−シ−ミ

と流れる部分があり、これが当時好きだった

アガーテへの想いによるものとされています。

アガーテの名をドイツ音名に読み替えたのです。

Agahte...A-G-A-H -E

 

ベートーヴェンの「エリーゼのために」も

このエリーゼは乱暴なベートーヴェンの直筆により

本当はテレーゼであろうと思われているが、この

テレーゼの名前をドイツ音名に読み替えて

反対に並べるとあの冒頭の み♯れみ♯れみしれどらーに

なるという逸話が残されています。そう考えると

ベートーヴェンは本当に相当に粘着質タイプ!ですよね。

何度あの音型が現われることでしょう。よっぽど好きで

彼女のことを忘れられなかったのね・・・

 

この、ちょっとにわかには信じがたいアナグラムですが

作曲家はきっとこれを用いて気持ちを届けようとしたり

遊び心で使ったと想像すると面白いですよね。

ここから、さらにアプローチしていきたいと思います。

綺想曲

投稿日:2019-11-25

ラプソディー作品79は、初めの出版の時には

奇想曲(カプリス)とブラームスは命名していたが、

規模も内容的にも豊かでスケールの大きいこの曲らを

軽い呼び名のカプリスでは合わないと思ったらしい。

 

この曲は、エリザーベト・ヘルツォーゲンベルクに捧げられた。

彼女は才知溢れる美貌の持ち主で、一時はブラームスのレッスンを

受けていたがあまりにも魅力的なので、その教育を友人に

頼んだほどでした。彼女は1879年完成のヴァイオリンソナタ第1番が

あまりにも素晴らしかったので是非自分に献呈してもらいたいと頼んだのだが

クララが天国に持っていきたいとまで言ったソナタを大切な人とはいえ、

他の人に献呈するわけにはいかず、ブラームスは、このラプソデイーの2曲を

エリーザベトに贈ることにしたのです。

パガニーニ変奏曲から10年ほどの後に書かれたこの傑作に

彼女はとても喜んだことでしょう。

 

しかしこのラプソデイーには、クララとシューマンの息子である

フェリックスへの愛と嘆きに満ち溢れていると私には思えるのです。

 

内省的なブラームスのことなので、誰にも気づかれぬよう

そのことを密かに曲に込めているのです。

つらい肺病に苦しんだフェリックスを亡くしてから

半年の後に書かれたこれらの曲に彼への思いが強く

反映されないはずがないのです。  次回へ

 

雨の歌

投稿日:2019-11-07

中学生の頃、私を夢中にさせたブラームスのヴァイオリン・ソナタ 第1番

その伸びやかなト長調の響きに涙がこみあげてきた。

今、このソナタとクララのことを考えると、さらに胸が熱くなる。

 

ブラームスがまだ23歳の頃にクララに紹介された詩人グロート

の詩を題材に歌曲を作曲し、クララの誕生日に贈りました。

その中に「雨の歌」op.59-3がありました。

ヴァイオリン・ソナタ第1番の完成を聴いたクララは、その

最後の楽章にあの誕生日に贈られた「雨の歌」の旋律が

おかれていることに気づきます。そして第2楽章には

フェリックスへの見舞いの旋律・・・・

クララはブラームスへあてて

「天国へもっていきたい・・」と

感動を伝えました。

 

歌曲「雨の歌」は以下のような内容です。

 

雨よ 降れ、降れ

子供のころのあの夢を

もう一度呼び覚ましてくれ

雨水が砂の上で泡立つ時に

 

すがすがしい冷気に、たちまち

夏のものうげな暑さが和らぐ時に、

そして青い葉が雨にぬれ

麦畑がいっそう青くなる時に  

・・・つづきますが

 

この子供の頃の夢を呼び覚まして、のところなど

フェリックスの幼き日を思い出して

クララは天国に持っていきたいと、最大の賛辞を

手紙で伝えたのでしょう。いつか天国で

フェリックスとともに聴きたいと・・・

 

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