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ピアノ教室コンセール・イグレック♪


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「YOSEコンサートvol.71」出演を終えて

投稿日:2024-09-27

こんなに本番を楽しめたコンサート、初めてでした。

 

最近のFB投稿でも書いたかもしれないけれど、ピリオド楽器を習うようになって以来自分の毎日の練習も一回ごとが本番、というか一回ごとに全く違うsonoritéソノリテが生まれるわけで、川口成彦氏から習ったハムスタータッチから生まれるそのグラデュエーションがもうたまらなく楽しくて、練習にも飽きることがない。今回のYOSEコンサートでは、リハーサル時も自宅のピアノと違って高音の響きが小気味よく、微かなる弱音の響きとの対比を楽しんだ。

 

リハ後、あるピアノ工房が修理したてのスタインウェイを弾かせてくれるとのことで、出かけました。弦を張って1回めの調律整音したばかりというところで、1曲弾いている間にわずかではありますが音が狂ったり、打弦の位置がずれたりしたが、私はどんなピアノの状態でも割と平気で苦なく弾いてしまうので、これまた楽しい午後でした。

 

工房の方には「修理したてのピアノを弾き込んでもらえて、大変助かった」と喜ばれ、私の方も本番までの空き時間、フルコンの鍵盤に触れることができて大変に助かりました。車で会場近くまで送ってくださり、到着したらなかなかいい時間。

 

今回の本番では、弱音がどこまで出せるかという自分の課題。1曲めのノクターン第7番の冒頭左手部分、リハーサルよりずっとイメージする音で出れて、前半に弾いた「木枯らし」、Op.25-5 も上々。

失敗したのは、プレリューディングについてのトーク後水を飲む予定だったのを忘れて、後半1曲めのノクターンを弾き出してしまったこと。

でもこのノクターン第8番の冒頭1小節が、とてもよい弱音で開始できたのはよかった。

 

が、やはりトーク後の水分補給は必須!と、次の2曲めのエオリアンハープを弾く前に立ち上がって、フメクリストさんが奏者のお辞儀の時によくやるように、グランドピアノの陰に隠れて、水をひと口飲みました。

しかしまたもや、失敗2つめ。

 

2曲めのエオリアンハープを弾いた後立ち上がって拍手をもらう(=ちょっとしたpauseを取る)はずだったのに、後半1曲めで立ち上がってしまったので、忘れた。そこから間髪入れずにエチュードを2曲。う〜む、微妙に息を整えながら、次のOp.25-2もリハよりも柔らかく、繊細なソノリテが出せていたし、最後の「黒鍵」では正しい奏法によるすごくいいf.ffの音が出ていて、一小節でfからppまでdim.するところもきちんと表せ、のびのびしたショパンの若々しいエネルギーを表現できたと思う。

 

会場のYAMAHA C7Eのピアノが、Steinwayみたいに、そして大きなホールで弾いているかのように感じられ、楽しかった。途中、自分が弾いているというより客席の皆さまとCDを聴いているかのような錯覚にとらわれるところが、何度もあった。

 

当日のスタッフの方にも「ウナコルダの使い方が細かくて、素敵ですね。」と言われ、ペダルこそ予め練習したとおりにするものでなく、その時その場の状況で即時に判断していつの間にかやっていることなので、音の聴き方、捉え方がこの1年で変わってきたかなと思えた次第。

 

自分のなかの課題はまだまだありますが、こうしてショパン時代に慣れ親しまれたプレリューディングを挟み込みながらのショパン作品演奏、今回とても熱心なお客様に聴いていただくことができ、嬉しかったです。

 

当日朝には、東京、大阪、京都から激励メッセージ。音楽家の友人からの言葉は流石に的を得ていて、こころ和みました。

 

まだまだお暑い中会場にお出かけいただきました皆さま方、遠方より気にかけてくださいました皆さま方、当日お世話になりましたミュージックステーションの皆さま、ありがとうございました。

 

次回YOSEコンサート出演は、12月27日(金)。《プレリューディングを絡めて綴るオール・ショパンの夕べ そのA》と題し、「革命」「別れの曲」「ノクターン作品9(全3曲)、第20番遺作」「幻想即興曲」他、皆さまよくご存知の曲がたくさん入ったプログラムとなっております。

 

年の瀬のお忙しい時期になるかと思いますが、ぜひメモ帳にご記入いただき、大掃除の気分転換に、お正月準備のお買い物帰りにお出かけいただけますよう、よろしくお願いいたします。  

 

 

 

日本クラシック音楽コンクール審査とイヴ・アンリ教授のこと

投稿日:2024-09-11

 9月に入りましたが、まだまだ暑さの残る、きょうこの頃。

 

学校も始まりましたね。

 

8月11日の発表会1週間前にして暑気あたりでダウンするわ、間近になってコロナ欠席者が出るわで、私にとっては「超絶罰ゲームの発表会」と、翌日からの東京出張3日間から2週間。

 

やっと心から休まり回復してきた8月27日、【日本クラシック音楽コンクール】予選審査へ。

 

会場は、そう、こないだ発表会やったばかりの緑文化小劇場!

 

 

小学生中学生部門でしたけど、学生コンクール前の参加者と覚しき人たちもいましたし、思い入れある大好きな曲に真摯に取り組む熱意ある演奏もたくさんありましたし、いずれにしてもコロナ以降のレヴェルは上がったと言えましょう。

 

たくさんの熱意ある演奏に心打たれて、まるで日頃のレッスンでノートを書くかのように、細かく、厳しく、講評を書かせていただきました。「大変よく弾けていました。」「素敵な演奏でした。」だけでは、この方たち何のために受けに来たか分かりませんものね。参加者の皆さんには、ちゃんとこの先があるのですから。

 

 

そして おとといの9月9日は、昨夏ノアンパスポート賞を得てを研修に出かけたフランス【ノアンショパンフェスティバル】主宰のイヴ・アンリ教授のレッスン受講に、9/26の《YOSEコンサート》のプログラムから曲をもって行ってきました。

 

「コンサートでは他にはどれを弾くの?」「当日はどういう演奏順で弾く予定なの?」と色々聞かれて最終的には全曲聴いていただき、たくさんの示唆に溢れる演奏を提示してくださったり、広い音楽観に基づくアドバイスを賜り、感激でした。

 

アンリ先生ご自身が、数十年前ノアンでショパン時代の古いプレイエルと出会われて、その楽器の修復とともにショパン作品の再研究、研鑽をされたという経緯もあり、先生の奏でるピアノは本当に奥深く、柔らかいタッチと繊細なアーティキュレーションは、まるで魔法のよう。

 

たくさんの曲を聴いていただき、またコンサートプログラムの演奏順まで一緒に考えてくださり、それはそれは丁寧なレッスンで本当にありがたかったです。

この数ヶ月、毎日の努力の積み重ねで、たくさんのショパン作品をスタディアゲインしてきた甲斐がありました。

 

 

 

 

次回 コンサートは、9月26日(木)18:30〜愛知芸文センター地下2階中リハーサル室にて。詳しくは、イベント欄もご覧ください 。

 

お出かけ いただける方は、このホームページの「この先生に連絡する」までご連絡ください。

 

当日受付に、チケットを前売り券1500円としてご用意させていただきます。

 

 

9月26日18:30 

愛知芸文センター地下2階中 リハーサル室

【YOSEコンサート】第Bステージ 

 

《プレリューディングを絡めて綴るオール ショパンの 夕べ その1》    ピアノ:黒田ゆか

 

Chopin

Nocturne No.7 Op.27-1

Etude Op.25-11 木枯らし

Etude Op.25-5

 

(プレリューディングについてトーク)

 

Nocturne No.8 Op.27-2     

Etude Op.25-1 エオリアン・ハープ

Etude Op.25-2

Etude Op.10-5 黒鍵

 

 

 

 

湯浅譲二先生との思い出

投稿日:2024-08-29

発表会を終えて翌日から東京出張 3日間の予定があり、出かけてきました。

 

音大時代に大変お世話になった作曲家の先生、湯浅譲二先生のバースデー個展コンサートがあり、今年はどうしての伺いたいと思っていたものでした。今年95歳になられるはずだった湯浅先生、実は7月に入った頃から体調が思わしくなくなり、下旬に帰らぬ人となられたのですが、この12日のコンサートは、先生の合唱作品による夕べでした。

 

「湯浅譲二〜95歳の肖像〜合唱作品による個展」、聴きに行けて本当によかった。湯浅譲二Joji Yuasa先生の合唱作品は、ラジオでいくつか聞いたことがあるのみだった。生で聴くとその抑揚のやさしさ、柔らかい自然発生的なひとの声、歌。音響的な変容と時間経過がもたらす微妙な温もり。先生は演奏は演奏家のコスモロジーの反映だとおっしゃっていたけれど、作曲も人間性の反映ですね。プログラム作品を聴いて、先生の出で立ち、お人柄、先生の声を聴いているような気さえして、最後には目頭が熱くなりました。私には特に「プロジェクション〜人間の声のための〜」と「問い」に、大変感銘を受けました。既成観念にとらわれない音楽の開拓力と、聴覚だけでなく視覚にも訴える包容力あるセンスのよさに、どこまでも新鮮な、前衛の力を感じました。音楽についてたくさんのことを教えてくださった湯浅譲二先生の偉大さをつくづく感じ入る夕べでした。

https://www.facebook.com/share/p/LkxYDGbd2AY1W2PZ/ 

 

湯浅譲二先生との思い出としては、あれは1990年代の終わりがけだったんではと思うけど、木村かをり氏と野平一郎氏が湯浅先生の作品を演奏するというので、湯浅譲二先生がリハーサルから招待してくださったことがあった。

当時の私は、1990年頭にマルセイユ音楽院学長のピエール・バルビゼ氏がなくなって日本で何をしたらよいのか徐々にわからなくなっていった頃のように思う。湯浅先生は、名古屋の文化界ではこのひとしかしらないと名前を教えてくださったりしながらも、私にやる気さえあれば木村氏を紹介しようという思いもかすめていたように思う。でも当の私はどんどん無気力に閉鎖的になるばかりの日々。

 

木村氏の前ではあの野平氏さえ弟分のひよっ子みたいな存在にもみえて、木村氏はリハも早々に切り上げ休憩に入られたが、野平氏は学生みたいにかぶりつきでさらっていた。(今から30年も前の話である。)そんなピアノ界姉御肌的な存在の木村氏だなんて、とんでもない。パーティ好きの湯浅先生はその後も千葉の海の見えるアトリエに作曲科の後輩たちが集まるからと声がけくださったり、いろいろな機会にお電話をいただいた時期があった。先生なりの道筋を示してくださろうと思われていたのではと今では思いますが、名古屋に音楽仲間も先生もいない当時の自分は何もなす術もなく。

 

「人間にとっての音〜ことば〜文化」が出版されたばかりだからと言ってプレゼントされたから、2012年に先生といちどお会いしたことがある。東京に来ていると電話したら先生のお住まいの最寄り駅まで来てくださって、そこの喫茶店でお茶を飲んだ。先生は書いていらっしゃる作品のこと、ご家族の近況など楽しそうに話されて「きょうはもう本当に帰っちゃうの?美味しいレストランがあるの、一緒に行けたらよかったのにね。また今度一緒にご飯を食べましょう。」・・・結局それが、先生とお会いした最後になった。

 

私はそれから4、5年で父の介護で徐々に忙しくなり、その介護の最中2018年にワルシャワを訪れ、ピリオド楽器というものを知ることになった。2020年に父が他界、21年から始めたフォルテピアノ。22年、23年とSACLAフォルテピアノアカデミーに受講生として参加、21年からは 小倉 貴久子先生、23年には川口 成彦氏にみていただき、ピリオド楽器とモダンピアノとの密接なつながりを漸く肌で、心で、耳で捉えられるようになり、自分の中でこれだ!というものをやっと初めてつかみつつあるきょうこの頃。自分の出す音が、その時その場限りの即時性を持った自然発生的なものとなり、自分自身がその即興的要素を楽しみ、愛おしくさえ思う。毎日の練習からの全てが変わった。そんな過渡期にある自分。湯浅先生にはもう一度お会いして、お話がしたかった。先生にまた自分の録音を聴いていただきたかった。

 

湯浅先生、大学1年の夏休み前の日、大学ロビーで先生と待ち合わせして、初めてお会いした時のことは忘れられません。それから長い間、本当にいろんなことを諭していただき、ありがとうございました。

 

先生、ゆっくりとお休みください。そして私の音、いつか探してみてくださいね。

きっと先生の心に届けます。 

  

 

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