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ピアノ教室コンセール・イグレック♪


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クリア連続の日々!

投稿日:2012-05-13

先週4日に「ラ・フォル・ジュルネ金沢」を聴きに出かけました。

ここのところ何かかと忙しい日々で、もう1週間が経ってしまったようです。

 

今年もまたいろいろなコンサートを聴きました。

今回は1日だけの滞在で、チョイスしたのは次の5公演。

最初のOEKとのドマルケットのチェロコンチェルトに続いて、ドミトリ・マフチンのVlnとピアノ。話題のポゴレリッチのピアノに、マンゴーヴァのピアノ、そしてトリオ・ショーソンです。

 

 

何といってもポゴレリッチの演奏は際立っていました。

ラフマニノフのソナタ第2番とバラキレフのイスラメイ、という予定に本人の希望で1曲追加された、ということで、入り口前の掲示板に書かれていたのは、ショパン:ノクターン第2番。

「へぇ〜。」と思ったのは私だけでないでしょう。

このコンサート、金沢の友人が取ってくださったおかげで前から2列め!

演奏が始まる、と思いきやポゴレリッチの手が宙に舞う。

「あれ?」「ん?」「あ?その手のポジション、ちがう。」

と次の瞬間、ノクターン第13番ハ短調が鳴りだした。

(公演後、掲示板はとくに係員がすっ飛んでいって訂正の紙を張られた、という形跡もなく、こういうところがラ・フォル・ジュルネらしいというか、フランスっぽくていいなぁ。!(^^)!・・・)

 

深い。し〜ん、としてまんじりともせず、誰も身じろぎもしない。

こんなショパン、聴いたことがない

ラフマニノフではまるで異次元の空間に連れていかれたように、音がスローモーション化して溶けてしまいそうだ。

偉大な音の渦のなかでピアノの倍音の連鎖を聴いているかのような錯覚に陥った。

また、イスラメイの冒頭の、シャープで且つあんなにやわらかな音、ちょっと忘れられない。。

 

これはポゴレリッチの哲学であり、凡人にはどうにも表現出来っこないパフォーマンス。

ピアノという楽器の演奏を完璧なまでに突き詰めていくとこうなるだろうが、この音響の連鎖は彼の美学であり、あまりに独特。唖然、まさに圧倒。

いろいろな理由で休止活動の時期もあったと聞いているが、1980年代のポゴレリッチを知っている年代としては「とにかく聴衆の前に出てきてください。m(__)m」と叫ばずにはいられない鬼才ぶりなのだ。

ワンフレーズワンフレーズが濃厚で、深く深く、こころに身体に浸み入ってくる。日常の感覚とは別次元なので、時間が止まってしまうかのよう。

 

プログラムの追加で1時間となったポゴレリッチ公演の後、マンゴーヴァとピアノ公演が続いた。

彼女も異彩を放つかなりの鬼才天才ぶりの実力派なのだが、ポゴレリッチのあとでは何だかほっとしたから奇妙なものである。

 

    

 

       

 

 

その後の1時間はお買いものでリフレッシュ。さいごにトリオを聴いて帰途についた。

今年も音楽学校の森崎先生とご一緒したが、お互い日頃はレッスンの毎日で、なかなか聴きたいコンサートがあってもままならない。

毎年ラ・フォル・ジュルネでは、心おきなくコンサート鑑賞できる、それもピアノに限らず、室内楽、オーケストラ、今年は聴けなかったが声楽などいろいろなジャンルのものが同じ日に聴けるという

音楽三昧ができるのは有難い。

 

久しぶりにコンサートを聴けて、2公演あたりでとてもリラックスして眠たくなった。身体がほぐれたようだ。

いい演奏というのは倍音の響きで演奏者の骨が響くから、と言われている。その振動が聴衆の骨の振動にも伝わり、奏者と聴き手が波長を合わせるのだ。だからリラックスして演奏中居眠る人がいるけれど、それもひとつの鑑賞法。

さて日頃の生徒たちの演奏では、多少上手くても「骨まで浸みる」ってことはないですね〜。(+o+)

 

 

奇しくも翌日は、ピティナコンペ参加生徒たちの試演会でした。(*^^)v

14名が発表会並の演奏をまとめあげて弾いていましたが、まぁ、これから集中力UPのお手並み拝見、というところです。

でも連休の中日によくがんばりました、ということで、ラ・フォル・ジュルネの記念ファイルをお土産にプレゼント。(^^♪

 

 

さて、この頃いろいろなことが一気に次々解決して、安堵の連続でした。

 

先に話した試演会の日は、文化小劇場をお借りしての会でしたが、残った時間でホールレッスンをしました。

ホールでのレッスンというのは初めてでしたが、生徒たちにとってもとてもいい機会になりました。

 

レッスンでの私は、生徒たちの演奏がまとまってこれば来るほど、出だしの音から結びの音から、そのタッチはどうなの?そこのディナーミクはどうなっているの?と、それはそれは細かい!(と思う。)

でもほんとに繊細な響きについてはなかなかその奥義を伝え切れないことも多いのだが、ホールでは一音鳴らしても、また私が「こういう音よ。」と生徒に代わって音を出してやっても、その音の違いが鮮明に反映されるので、生徒たちの吸収力の凄まじいこと。

また「このフレーズのこういうところの音を聴くのよ。」と耳センサーをどこへもっていったらいいのか生徒の耳の照準をナビゲートすることで、普通ならホールで自分が出す音に戸惑っている時間を最大限短縮することに成功!こういうところでは自分の演奏経験が如実に発揮され、感慨深い。クリアNo.1!

 

 

2番めに、昨年のラ・フォル・ジュルネ金沢で、何気なく並んだ東大オケの整理券の列で知り合った福井のひとがいる。親子さんで、娘さんのほうは就職して名古屋に住んでいるとのこと。大学生時代までバイオリンをやっていて復帰したいのだが、アマチュオケに入ろうか迷っていて、またどこのオケが自分に合うかもよくわからない、と不安そうだった。そこで名古屋に戻ってから知人からの情報をまわして差し上げて、新名古屋交響楽団に入り、3月には定演に招いてくださった。このアマオケは元名フィルフルート奏者寺本義明氏が監督をつとめるオケで、かなりレベルが高い。

その後、無事にやっているだろうか、と気がかりだったが、その定演の日は本人も忙しく、会場で顔を合わすタイミングもなかったので、このGWまたラ・フォル・ジュルネ会場でお会いできるのを楽しみにしていた。お母さまともまた再会することができ、とても嬉しそうなお二人のお顔を拝見し、この巡り合わせをお手伝いできてよかったとしみじみ思った。クリアNo.2!

 

 

次はこの夏からベルリンに引っ越すことになった知人から小学生の娘さんたちのバイオリンの先生探しの相談を受けていたのだが、知人の伝手をたどってベルリン在住の名フィル客演コンサートマスタ―が面倒をみてあげよう、というところまで話が進んだ。しかしながらこれでよかったのかな、と思う節あり。まったくひとの紹介というのは難しい。(-。-)y-゜゜゜

まこと厄介な話だったが、直接そのみてあげようというバイオリニストに話をしてみたら十分納得でき、クリアNo.3!

 

 

この連休に発ち、向こう3年間アメリカに医師として修行に出かける社会人生徒さんが、留守のあいだ自分のGPを私の生徒さんに無料貸出したい、と申し出てくださった。

私はすぐにGPを持っていない小学生の生徒を紹介したが、なかなかピアノの音のご近所問題で上手くいかず、ある中学生のところへいくことになった。でもこの生徒、まだまだ仕込みがこれからの生徒で、タッチは不揃いだし、練習時間は多くとられる年代だし、と気になることだらけだったのだが、この度このピアノに腕利きの調律師がつくことになり、クリアNo.4!

 

 

ある社会人生徒のレッスン。 

彼女、とても指はよく動く。でも発音にブレがあり、いい音色に結びつかない。 本人もよくわかっているのだが、なかなかクリアできない。 

私はずっと彼女の座り方が気になっていたところ、あるピアノ雑誌の今月号に紹介されていた座り方チェックのポイントをいっしょにやってみた。 

「坐骨で座る」という基本だ。 まるで手品のように、直後彼女の音が激変。 

ラフマニノフの前奏曲の繊細な音群が、静かに紡ぎだされた。クリアNo.5!

 

 

お次はまだまだ年端のいかない生徒の話だが、力は十分あるくせになかなか曲に集中できない、という生徒がひとり。私のもとに来てまだ1年未満。

私、率直に言って「音楽の精神性」ってものが通じないヤツ(?)は嫌いです。

でも音楽が好きなのは、彼女のピアノを聴いていればすぐにわかる。

だから「なんで一体、いつまでもそんななの?」と気になっていたのです。

 

が、最近になってお母さまが或ることを話してくれました。

ちょっと傷心するようなことがあって以来、コンクール仲間だったあるひとへの負けん気から抜け切らないようです。

お母さまには話しましたが、きょうの彼女にまだ笑顔はない。

話伝わってないな、と判断し、レッスンで生徒本人とも話しました。

 

「ね、なんか負けん気でピアノやってる、って聞いたんだけど、それってちょっと寂しくない?」「ん?」「ま、それはいいけど、で、将来の夢はな〜ぁに?」「小学校の先生とかになって、トランペットとか教えて、吹奏楽の顧問になりたいの。」「いいじゃない!・・・そしたらさ、ちいさい子供たちにいろんな楽器を教えるの。その子どもたちはさ、音楽大好きでたまらない子たちばっかりね。」「うん。」「その子たちがさ、負けん気で音楽やってるとしたら、どう?」「ん?」「へんじゃない?」「うん。」 「あなたはピアノ大好きでやってるんだよね。それはすぐわかるのよ。あの音出して楽しい、ってレベルじゃない、ってことがね。それでさ、ピアノの曲ってのは何千曲、何万曲ってあるのよね。」「うん。」「これからもっともっと素敵な曲にめぐりあって、練習して弾けるようになってゆくんだよね。それで上達したら何十人、何百人というひとたちを楽しませることができるんだ、たくさんのひとたちに素敵な音楽を届けられるの。」「ん。」「音楽ってそういう大きくって広いものなの。」「ん。」「だからさ、そんな素敵な音楽やってるのに、その負けん気なんてちっぽけなもの、どうでもよくない?」「ん。」「そんなことちょっと忘れて脇に置いてサ、素敵な音楽を前にしてそんなことに関わってるヒマってないじゃない!」「うん。」「じゃ、これ弾いてみよぅ。」とピアノに戻ったところに、お母さまがお迎えに来ました。

 

この日の彼女の晴れやかな満面の笑顔は、流石に嬉しかったです。

あれ?!こんなに可愛い子だったの〜、って。(^・^)-☆

お父さんやお母さんの前で褒め言葉かけてあげても、いつも何だかふくれっ面だった彼女。そんな彼女から笑顔を引き出すことができて、この生徒のピアノは明らかにこれから開かれてゆくと思います。クリアNo.6! 

 

ほっとして休日だ。^/^ 

 

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