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ピアノ教室コンセール・イグレック♪


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エッセイ:鈴虫

投稿日:2010-09-01

 夜には鈴虫の声が聞こえるようになりました。

 

しかしこの夏、ほんとに暑かったですね。

いかがお過ごしでしたか。

 

7月中の私はとても元気で、7/21のイェルク:デームスのオールショパンのランチタイムコンサートは猛暑日だったが、すばらしい音色を堪能した。

81歳のデームス氏が牽き出す音色はカクテルの気泡のように気品を醸し、夢のように飛び散るのだった。完璧に脱力された手と自然な動きは、芸術そのもの。会場の宗次ホールは満員御礼。生徒たちもこういうの、ぜひ聴かなくちゃ。・・・

 

しかしそんな素晴らしい音色に酔いしれるも束の間。その辺りはもうピティナコンペ予選の真っ只中に突入で、毎週末参加生徒たちの講評Faxが連続する。予選通過点にわずか0.2点という生徒たちも多く、2回チャレンジする生徒たちには何とか短期間に有効なアドバイスができないものかと頭はフル回転だったのですが、まぁそこは本人の日頃の実力よ如何に、ということに。

 

教える立場としては生徒たちの点がどうの、より、講評で指摘されている内容が日ごろのレッスンで注意していることが目立って多かったことのほうが気になった。結局は伝わり切っていないのだと分かり、いささか気が滅入った。「伝える力」の充足の必要を思った次第。とかく専門分野というものは話し出すと小難しい。喋りだすと「相手は分かったもの」として話を進めているもので、相手がどこのどの部分がよくわかっていないのか、見当もつかないことが多い。コンペの1,2週前にもなると生徒によっては公開レッスン並の内容になってくるわけで、小学生辺りの生徒だとレクチャーでも聞くかのように、親子で「ふうん。」といいお話聞けましたみたいな顔つきで圧倒されたような顔で終わってしまうこともあり、コンペ後はもういちど冷静に生徒たちを見つめ、こまやかな理解力に配慮するようになった。例えば調性や和声進行の話をしても、関係調の成り立ちも分かっていなければ、それは「ふうん。」で終わっても仕方あるまい。

思い出したのは今ニュース解説でブレイクしている池上彰氏のインタビュー。以前「こどもニュース」のお父さん役をなさっていた頃に、専門用語をいかに分かりやすく解説するか、また一般の人々というのは(意外にも)こんなことすら知らないのだ、ということを幾つも知り、また分かりやすく解説をこころみる上でいろいろな事柄を調べ直し吟味を重ねることでご自身が勉強を深めた、という言葉を思い浮かべていた。

 

そんなこんなで5日間のピアノレッスンの夏休みに入った途端、バテました。

とは言え予定はいっぱいで、まず初日はしばらくぶりで帰省している友人とルーセントタワー40階のバーへ繰り出す。名駅北東のすばらしい夜景が目の前に繰り広がるバーラウンジで、きれいな夜景を見せる窓ガラスもとても大きく、隣のソファとの距離が絶妙で、隣の会話もさりげなく、また静かすぎず。それにこういったラウンジにつきもののピアノ演奏がないのも好印象で、くつろげた。シャンパン・ロゼのゴールドピンク色が美しく、フルーツの盛り合わせを堪能。すごい冷房のきいたお店でかき氷!を夢見るこの酷暑でしたが、ギンギンに涼しい空間で思い切り都会嗜好の、浮世離れした時間を過ごすことが出来ました。

 

一日おいて翌々日は、車で80分ほど走り、一色港から佐久島へ1泊の旅へ。

午後は少し歩き、早めに夕食をとって島のお祭りに繰りだす。

島の人々の和太鼓と盆踊り。とてもプリミティブな感じで、踊りはテンポ50切ってるんじゃないかなぁ、スローでシンプルな音。ここ佐久島はほんと泣けるくらい?なぁんにもないし、その分自然に溢れ、ぼ〜っとできるところ。車は少ないし、スピーカーの音やサイレンもないし、携帯がじゃんじゃん鳴るということもなし。この島の祭りを見て、都会の音や速度を一時だが忘れ、原初的なものの有り難さを想った。

翌日は自転車を借りて島を東から西へとサイクリング。気儘なところに留めて林の中を歩いてみたり、汗だくになって海に浸かったり。・・・    

思いっきり太陽の子になって、3時ごろの船で戻る。夕方、名古屋に向かって走る道中、西尾市の「米津の川まつり」に遭遇した。

 

たまたま交差点近くに駐車スペースが見つかったので、ふらりと出かけてみることに。花火まではかなり時間があるけど、まぁいいっか。川のふもとの堤防の階段を陣取って、ぼ〜っと人の群れを眺める。川の向こう側には屋台がおいしそうに並んでいるけど、あそこまで歩いて帰ってくる元気はないなぁ。・・・車だからビールも飲めないし。・・・ そうこうしていると、目の前でこどもたちの和太鼓が始まる。その後読経とともに灯篭ながしが始まり、和の風景に見入った。こんなのんびりした光景って久しぶり。それから花火の時刻にもなるとかなりの人出で、広い橋の上のひとたちは微塵も動かない。それでも押し入ってくる人々もいないし、皆静かでおっとりしたものだ。ふらりと遭遇した祭りなのでとりわけ楽しく、花火はかなり豪勢なもので見応えがあった。 

 夏休み最終の日は、伏見に出て映画「グラン・ブルー完全版」へ。主人公少年時代のギリシャの海のモノクロシーンから映像の美しさに目を奪われる。南仏やシシリーの海。ストーリーも素敵だったし、音楽もよかった。イルカと泳いでるシーンでは、街の暑さを忘れる。久しぶりのフランス語も耳に心地よかった。

 

休み明けには、コンペでの経験をふまえて、生徒たちのピアノは明るく、充実しつつある。結果は生徒本人が受けとめ、熟してゆくべきもの。

私には生徒たちの結果はほぼ見通したとおり。だから一喜一憂はないけれど、生徒たちが経験をどう受け止めてゆけるかについてはじっくり見守ってゆかなければと思っている。

結局はじっくり実力を伸ばすことが肝要で、何が足りないのか、いま何がやれるのか、といった具体的な視野がなければならないと、私は思う。

コンクールでは、技量、創意、意欲、精神性・・・すべてが結果に反映される。別段コンクールに関わらずレッスン生すべてに及ぶことだけれど、そこのすべてを見ていなければ先生はつとまらない。

 

学校での成績を上げている生徒、ピアノ以外の本科専攻で秋のコンクールに向けて気を引きしめている生徒、学校での部活でピアノ伴奏やサックスに頑張っている生徒(こないだB管と実音の差がよく分かんないと言って持ってきたスケールの全調練習をみて、こちらがびっくり!そりゃ耳がよくなるはずだ。)もいるし、また時を同じくして5名の新入会生。

 

活気たえまない生徒たちに囲まれ、暑さにバテてる暇も束の間、・・・有り難いことです。

                   

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