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音の探求〜ピリオド楽器を通して〜

投稿日:2021-11-06

先の「文化の日」に、菰野ピアノ歴史館を訪ねました。

 

10月10日にはこのピアノ歴史館のオープンセレモニーにも招待を受けていたのですが、突発的な予定変更で伺うことができずにいたものです。その日はセレモニー後フォルテピアノ奏者川口成彦さんによる楽器のデモンストレーション演奏もあり、立ち会えなかったのはとても残念でした。

 

   

 

さて、このピアノ歴史館ではピアノの前身であるクラヴィコードからチェンバロ、19世紀前半のウィーンアクションのフォルテピアノ、ショパンが愛用した19世紀後半プレイエル社のアップライト型ピアノ、20世紀初頭のドビュッシーが好んで使っていたベヒシュタイン製グランドなど、じつに様々な時代のたくさんの楽器たちに囲まれて、朝からたくさんの来場者で賑わっていました。

 

 

親子で来ていた小学生の男の子さんが奏でるバロック小品が色々な楽器で何度も何度も弾くうちに音色が研ぎ澄まされ、どんどん素敵な音に変わっていくのを垣間聴いたり、姉妹でピアノのカバンを下げてやってきた小学生の女の子が、ブロードウッドでハイドンのソナタを弾き始めた時は、すごい素敵な音〜!と思わず聴き入ってしまいました。

 

それにしてもひっきりなしの来場者。・・・静かにピアノを弾き出すと、どこからともなく元気な音が聴こえてきます。

 

どの楽器も自由に触って奏でられる経験、子供たちにとっては堪らない夢ワクワク体験でしょうね。

 

こんな夢のような体験ができるのも、こちらの菰野ピアノ歴史館、名古屋の中部楽器技術専門学校が母体となっているからなんでしょうね。

いろんな人が楽器を触っても、調律や修理に即対応できる技術者が揃っているからこそなのではないでしょうか。有り難いことです。

 

 

チェンバロ全盛期、弱音のピアノから強い音のフォルテまで自在に出せる楽器ということでフォルテピアノは開発されました。特に華やかなチェンバロの音は弱音を出すことができず、歌の伴奏などには不向きな楽器でした。そんな時代背景のなか弱音が出せる楽器ということで、フォルテピアノは18世紀初めの画期的な発明品だったのです。

 

   

 

フォルテピアノの魅力は、まさにこの p(ピアノ)。 そして現代のモダンピアノは20世紀以降の近代化に伴って、何千人もの聴衆を収容できる大ホールにもふさわしい楽器をということで大音量が出せる楽器が開発されてきました。そして大きな音が出せるということがピアノ学習者にとっては必須の条件のように思われてきましたが、モダンピアノの音量域はフォルテピアノの最弱音から始まるわけです。

 

この最弱音がコントロール出せずして何が語れるか、そしてこの最弱音を出せるにはどういった技と耳が必要なのかを、私は川口成彦さんの演奏を2018年ワルシャワでの第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールの会場で初めて聴いた時からずっと考えてきました。

 

 

遠くにちゃんと響きわたるPPの音。そんな簡単にできるものではありませんが、要は、離鍵と脱力、そして聴き方のコツといったところでしょうか。

天才ならば、そんなこと言ってる間もなくできちゃうんでしょうけど。

 

 

生徒たちはまだフォルテピアノを触ったことがない人たちがほとんどですが、日頃の日課である鍵盤上の{指の体操}や音階練習などにもこれらの要素を取り入れて、遊び感覚でこうした練習がより楽しくなったよう。

「うん、やる、やる。」と意欲的!ピアノのいい音がどんな音かということを、直感的に分かっている子たちばかりです。

 

 

私もフォルテピアノを何度か弾き、勉強するうちに、p、ppの奥義を知り、いつしかモダンピアノのpppが醸し出す美しさの妙を引き出す楽しさを噛みしめ始めています。音響の立体感が変わり、音の陰影が自然な会話のよう、ペダリングもきめ細かになり、そこから生まれるカオスの音空間は一発触発、演奏は即時のものになり、自身が自由に解き放たれた感じです。 

 

小学生の卒業アルバムに書いた私の〈音の探求〉、まだまだ続きそうです。(^^♪ 

 

 

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