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ピアノ教室コンセール・イグレック♪


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「ピアノ・テクニックの基本的原理」について@

投稿日:2011-06-07

山梨に住むお知り合いから「ゆか先生のおんがく質問箱」に、次のようなメールが入りました。

これから基本を大切に、からだにむりのない態勢でピアノを楽しんでゆきたいということのようですね。

テキストはブランカール著の「初心者のためのピアノ・テクニックの基本的原理.〜アルフレッド・コルトーの学習方法への手引き〜」です。

きっと読者の皆さまにも有益なメッセージになると思い、これから公開でお答えしてゆきたいと思います。 

 

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こんにちは、ピアノを始めたばかりのものです。

先生に是非教えていただきたいのですが、住まいが遠いためこのようなお便りで質問させていただいてもよろしいでしょうか。
ご迷惑おかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

先生の"ごあいさつ"にも登場する「ブランカールのピアノ・テクニック」を練習したいと思うのですが、いまひとつ、使い方がよく分かりません。
最初の体操の留意点や、その後の、練習課題の毎日の使い方(例えば、練習曲の前にどれとどれをどのぐらいすれば効果的とか)等、教えていただけると幸いです。
お忙しいと思いますので、どうぞお時間があるときにでも少しずつ教えていただければとても嬉しいです。

ピアノを始めるには大変高齢なのですが、これから長く楽しめたらと思っています。
ピアノの楽しみ方、いっぱい教えてください。
勝手なお願いばかりですが、どうぞよろしくおねがいします。

 

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質問、ありがとうございます。

これからゆっくりと始めてゆきましょう。

  

まずゆったりした気もちでピアノの椅子に座りましょう。

気もちのいい椅子に座っているきもちで、足をゆらゆらしてみてください。

それから、ちょっと後ろ向きか横向きに座り直して、次の体操をしてみましょう。

ぐ〜んと腕を伸ばして(肘も伸ばしますよ。)、手をいっぱいに広げてみて下さい。

そう、寝起きに伸びをするみたいに。

 

そこからふっと弛めると、どうなりますか。

肘はたわみ、いっぱいに広がった指もやわらいで、手のひらは自然にすこしすぼまってきましたね。

これを2,3回続けて、この感覚をまず味わって下さい。

さて、このコルトー・メソッドのさいしょの体操は、この動きを鍵盤上でおこなうことです。

これからピアノを弾く際、手の内筋の動きをとらえるために大切なことです。

手のひらをうえにして鍵盤の上にふわっと置いてみて下さい。

そこから手のひらを返してみましょう。

 

この時すでに指先や腕に力が入ってしまって、このテキストの最初のページにあるような挿絵(厳密に言うならば、この絵にある手のポジションは私の見解ではすこし違うのですが。・・・)のようなふくらみのある感じにならない時は、さいしょにお話した体操をくり返してみましょう。

気長にくり返してみて下さい。

先んじて、この先に進まないようにしましょう。これは大切なことです。

 

このポジションがとれるのに少し時間がかかるかもしれません。

 

指は自然に丸みを帯びていますか。

手首は力が入って肘より高くなったりしていませんか。

  

この先はまた後日に書きます。

 

今週にはいって

投稿日:2011-05-28

                       

 

5月23日、爽やかに晴れあがった日にお庭で摘んだ花を生けました。

Ravello(イタリア)で買ったお気に入りの花瓶にさして。・・・

 

 

        

   初挑戦のズッキーニ、実がなってきました。        

     27日つゆに入りました。茄子の花、可憐です。

 

 

音楽に大切なもの

投稿日:2011-05-20

5月15日、日本ピアノ教育連盟東海支部の主催で、恩師小林仁先生の講演「日本人にとってのショパンのマズルカ」を聞いた。

 

日本人にマズルカが分かるのか、など兎角マズルカの演奏はむずかしいとされるけれど、ポーランドの民族舞踊としてのマズルカを分からなければならない訳でないとしながら「ショパンのマズルカを読み解くには?」という命題を、3つの観点から紐解いてゆく。

 

「AであるということはBである可能性がある。少なくともCということはない。」こういった考え方は、楽譜を読み、そのなかの音楽を紐とき考えてゆくとき、極めて有効な方法だ。

 

私たちは「ここはfですよ。」「ここはアクセントが書いてあるでしょう?」みたいに訳もなく書いてあることを忠実に守っていれば演奏が出来上がるかのように学んできている(と思う)が、楽譜の中身というのはじつにさまざまな情報に満ちたもので、1曲1曲をいろいろな視点から見つめ直し、吟味し、考えを深めてゆくべきものなのだと思う。

音楽は、奥深いところでは断定的なことより疑問形のほうがはるかに多い。

 

「ショパンの弟子レンツがショパンのレッスンを受けているところにマイヤベーアが入ってきて、演奏中のこのマズルカ作品33-3は2拍子ですね、と言った。ショパンは弟子に代わって3拍子だと言って演奏してみせたが、尚もマイヤベーアは2拍子だと主張したため、ショパンが激怒した」という有名なエピソードを引合いに出しながら、マズルカの拍感についての熟考に入ってゆく。この辺り、先生流石だなぁ、と聞いていた。

 

音楽はわからないことだらけ。「マズルカは2拍めもしくは3拍めにアクセントが置かれる。」など、こうこうこう、と定義されてもそれだけで単純に解決できないことばかり。

そこを「〜であるということは、〜であると言えまいか。」「〜であるということは、〜を導くのではないだろうか。」といった考え方はとても大切な構えと思った。

 

常々教えることに従事していると何でも決めつけて教える場面も多いし、生徒たちもそうして何でも教えてもらえるものと信じている訳だけど、音楽はそういつも簡単に割り切れるものではない。・・・そうやって考えを深めながら生徒たちにも考えを導いてゆく、という姿勢は、相手が小学校3、4年生にもなれば有効だと私は思っている。

(そもそも私の幼児入門ではピアノを始めて数カ月の3、4才児にでも、ド、ド、ドーとだけ弾く生徒の音に様々な伴奏をつけて、どれが一番よかった?、こっちとこっちではどんな風に違って聞こえた?など、生徒本人の考えをしっかりと導いてきているから。・・・)

 

またここ数年考えてきていることで生徒たちにもレッスン中しょっちゅう話している、よく音楽の教科書に書いてある、1拍めのアクセント=強拍の概念に対する懸念についても、先生のお話のなかで束の間だが触れられて、嬉しく思ったりした。

 

「拍のカウンターウェイトがあるのがマズルカではないか。とすると、ショパンのワルツ第7番、第10番などはどうしてもワルツというより、マズルカに聴こえる。ショパンにとってのワルツは異国のものであり、どうしてもマズルカ的(ポーランド的)要素がみられるのではないか。」

・・・先生はこうして楽譜を丹念に読み解いてゆかれる。

 

こういった多角的で抽象的な考え方は、音楽を深く理解してゆくのにたいへん大切な鍵になる。

 

晩年のマズルカでは、ポリフォニックな傾向が出てくるが、バッハが好きだったというショパンも「ロマン派の時代においては、今の時代のようにバッハなりのすべての作品を知る由もなく、平均律は全曲知っていたとしても、たとえば”音楽の捧げもの”といった作品は知らなかったのではなかろうか。」・・・ 先生にかかると、音楽史も立体的に見えてくる。 

 

小林仁先生の講義、私にはとても有意義でわかりやすく、楽しかった。

 

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