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ピアノ教室コンセール・イグレック♪


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コロナ禍、3回めの桜

投稿日:2022-03-27

皆さま、桜の季節になりましたね。いかがお過ごしでしょうか。 

            

 2020年のコロナパンデミック宣言から、皆様方の価値観も多様化してきていると思います。

 

最初の1年めは、コロナなんかに負けない、前を向いてしっかりと切り抜けよう、レストラン業者に再開の支援を、農業生産者たちに支援の輪を、など色々な情報もめぐり、活力があったように思われます。

しかしこのコロナ事情も一進一退しながら3年めに突入し、また今年の北京オリンピック以降は世界事情も一変し、皆さまの心には少なからず焦燥の思いと停滞感のような影を落としてきている方も多いのではないでしょうか。

 

コロナ元年には、「音楽は心の滋養!」「コロナ禍の今こそ音楽の力を!」など叫ばれていたように思いますが、このところテレビのいろいろな番組でもグルメ情報ばかり。こんなご時世、コロナになってしまうならその前に美味しいものでも食べておこう、コロナで飲めなくなっちゃう前に特上のワインでも飲んでみよう、みたいな発想も出てきているかもしれません。

 

そして私が携わっている〈純然たるクラシック音楽〉は一部の愛好家のものにとどまり、せっかくたくさんの人たちに開かれ始めていた領域が少しずつ変わりつつあるような気がしています。

 

それは、コロナ禍でクラシック音楽の外来演奏家によるコンサートが開催されにくくなったこと、コンサートが開催されても客席数を減らして少人数の形でしか発信できないものになったこと、それに伴いチケット購入競争が激しくなり、気ままにコンサート鑑賞するのがたいへん難しくなってきていること、少しずつコンサートに出向き始めていた方たちがステイホーム志向で足を運びにくくなり、YouTubeなどオンラインミュージックだけで容易にクラシック音楽を親しめるようになり、海外の先生方のオンラインレッスンや内外コンクールのオンライン審査も増え、年代を問わずオンラインを通したサウンド志向になりつつあること、ピアノコンクールやピアノ発表会、学校行事の吹奏楽コンサートなどが開催されても関係者のみ対象となり公共性が薄れてきていること等に、いろいろな思いがあります。

 

 

私は幸い20代30代の若い時代に、ヨーロッパで世界的ピアニスト、とりわけフランスピアニズムの伝統を踏まえたテクニックと感受性をお持ちの、私の大好きなおふたりのピアニスト、パスカル・ロジェとジャン=フィリップ・コラールの両先生にたくさんのレッスン受けた貴重な経験、そこで培った音楽的感性と耳、そして正確なテクニックを、この、純粋な芸術がどこまで求められるのかという厳しい時勢のなかで、凛とした気持ちで教え、伝え続けていきたいと思っています。

 

 

そして、そんなこんなの中ピアノを弾いていられることを私は幸せに思い、自分にやれることをやっていきたいと思っています。

 

そう言えば先日、20世紀の名ピアニストバックハウスがかつて所蔵していたという素敵なピアノを弾かせていただきました。

その時の録音から「月の光/ドビュッシー」をお届けします。

  https://youtu.be/oxBDiaBN0dk

 

                

 

皆さま、どうぞお元気で!

 

2022年、菰野ピアノ歴史館見学ツァーで新春幕開け!

投稿日:2022-01-07

明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。 

 

私のお弾き初めは1月2日。24調スケール&アルペジオ練習から、でした。

日頃は曲を弾く前に数種類弾く程度ですが、考えてみたら調性はハ長調、ト長調、ニ長調・・・からイ短調、ホ短調、ロ短調・・・と24調あり、短調には和声的と旋律的の2種類あるから36通り。そこで平行、反行を組合わせたものを1種としても、8度、3度、6度で×3で108通りある訳ですね。やり甲斐あります。そこで4時間くらい、この練習に没頭してました。初級にはそれなりの、上級にはまた違った練習法があります。

いい発見がいくつもあり、それから弾く曲の数々は、音の風景が違って見えました! 

 

 

1月5日には、三重県に昨年秋オープンした「菰野ピアノ歴史館」に有志生徒を連れてお邪魔しました。

昨年から私の教室でピアノを習っているピアノ大好きなひとたちをいちど連れていきたい、もちろんオープンと同時に皆に案内はしましたが、何となく行って帰ってくるというだけでなく、教室のみんなでいろんな楽器の音色を聴きあえたらいいな、という思いを抱いていました。

 

当日は歴史館理事の木村和人さんが楽器解説をしてくださり、クラヴィコードのちいさな音にも、じっくり耳を傾けることができました。とってもとっても小さな音で、まさに耳を澄ます、という感覚です。ピアノの歴史に思いを馳せながら、楽しい解説は進みます。ウィーンアクションのブロードウッドで、月光ソナタ第1楽章を、踏み替えなしのペダルで聴いてみたりしました。さらにウィーンアクションのハインツマンやPleyelのピアニーノなどに話が弾みます。 

その後みなは思い思いに20数台の様々な楽器を鳴らし、お気に入りのピアノを決めて、持ってきた曲を披露しました。

ここの楽器は自分で弾いてみるのももちろんとびきり楽しいですが、仲間が弾くのを聴くとまた客観的に個々の楽器の響きがよくわかり、日頃の現代のピアノの響きとは違う音空間に浸れます。

 

私が弾き終ったのが、閉館時間15分前。それでもなかなかピアノから離れない生徒たち。疲れも見せずにあんなに元気にピアノに向かっている姿を見て、みんなピアノが大好きなんだな、と思い、びっくりしました。

私もとっても元気が出ました。やはりみんなで共有する音楽って、いいものですね! 

 

参加できなかった生徒さんたち残念だったけれど、昨年からの私の思いがかない、年明けに素晴らしいかけがえない教室イベント&体験会となりました。

菰野ピアノ歴史館のスタッフの皆さま、いい時間をありがとうございました。

 

 

きょうの体験を基に、また大きく成長していってくれる皆の姿をこころに描きつつ、私もがんばって精進いたします。

 

     

 

♪当日の演奏動画

ショパン「24の前奏曲」より第14番、第15番【 雨だれ】 - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=pzNNPiZlsEs

 

 

音の探求〜ピリオド楽器を通して〜

投稿日:2021-11-06

先の「文化の日」に、菰野ピアノ歴史館を訪ねました。

 

10月10日にはこのピアノ歴史館のオープンセレモニーにも招待を受けていたのですが、突発的な予定変更で伺うことができずにいたものです。その日はセレモニー後フォルテピアノ奏者川口成彦さんによる楽器のデモンストレーション演奏もあり、立ち会えなかったのはとても残念でした。

 

   

 

さて、このピアノ歴史館ではピアノの前身であるクラヴィコードからチェンバロ、19世紀前半のウィーンアクションのフォルテピアノ、ショパンが愛用した19世紀後半プレイエル社のアップライト型ピアノ、20世紀初頭のドビュッシーが好んで使っていたベヒシュタイン製グランドなど、じつに様々な時代のたくさんの楽器たちに囲まれて、朝からたくさんの来場者で賑わっていました。

 

 

親子で来ていた小学生の男の子さんが奏でるバロック小品が色々な楽器で何度も何度も弾くうちに音色が研ぎ澄まされ、どんどん素敵な音に変わっていくのを垣間聴いたり、姉妹でピアノのカバンを下げてやってきた小学生の女の子が、ブロードウッドでハイドンのソナタを弾き始めた時は、すごい素敵な音〜!と思わず聴き入ってしまいました。

 

それにしてもひっきりなしの来場者。・・・静かにピアノを弾き出すと、どこからともなく元気な音が聴こえてきます。

 

どの楽器も自由に触って奏でられる経験、子供たちにとっては堪らない夢ワクワク体験でしょうね。

 

こんな夢のような体験ができるのも、こちらの菰野ピアノ歴史館、名古屋の中部楽器技術専門学校が母体となっているからなんでしょうね。

いろんな人が楽器を触っても、調律や修理に即対応できる技術者が揃っているからこそなのではないでしょうか。有り難いことです。

 

 

チェンバロ全盛期、弱音のピアノから強い音のフォルテまで自在に出せる楽器ということでフォルテピアノは開発されました。特に華やかなチェンバロの音は弱音を出すことができず、歌の伴奏などには不向きな楽器でした。そんな時代背景のなか弱音が出せる楽器ということで、フォルテピアノは18世紀初めの画期的な発明品だったのです。

 

   

 

フォルテピアノの魅力は、まさにこの p(ピアノ)。 そして現代のモダンピアノは20世紀以降の近代化に伴って、何千人もの聴衆を収容できる大ホールにもふさわしい楽器をということで大音量が出せる楽器が開発されてきました。そして大きな音が出せるということがピアノ学習者にとっては必須の条件のように思われてきましたが、モダンピアノの音量域はフォルテピアノの最弱音から始まるわけです。

 

この最弱音がコントロール出せずして何が語れるか、そしてこの最弱音を出せるにはどういった技と耳が必要なのかを、私は川口成彦さんの演奏を2018年ワルシャワでの第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールの会場で初めて聴いた時からずっと考えてきました。

 

 

遠くにちゃんと響きわたるPPの音。そんな簡単にできるものではありませんが、要は、離鍵と脱力、そして聴き方のコツといったところでしょうか。

天才ならば、そんなこと言ってる間もなくできちゃうんでしょうけど。

 

 

生徒たちはまだフォルテピアノを触ったことがない人たちがほとんどですが、日頃の日課である鍵盤上の{指の体操}や音階練習などにもこれらの要素を取り入れて、遊び感覚でこうした練習がより楽しくなったよう。

「うん、やる、やる。」と意欲的!ピアノのいい音がどんな音かということを、直感的に分かっている子たちばかりです。

 

 

私もフォルテピアノを何度か弾き、勉強するうちに、p、ppの奥義を知り、いつしかモダンピアノのpppが醸し出す美しさの妙を引き出す楽しさを噛みしめ始めています。音響の立体感が変わり、音の陰影が自然な会話のよう、ペダリングもきめ細かになり、そこから生まれるカオスの音空間は一発触発、演奏は即時のものになり、自身が自由に解き放たれた感じです。 

 

小学生の卒業アルバムに書いた私の〈音の探求〉、まだまだ続きそうです。(^^♪ 

 

 

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